らくだい魔女と両思いのち片思い〜ライラックの花言葉を君に捧ぐ〜

"家族"か"敵"か ページ15

カイトside



さて、と。皆の無事は確認できたことだし、そろそろ……。



ゆっくりアダムに近づいていく。アダムは、うつ伏せになって倒れていた。



フウカ「カイト、何するの……？」



フウカが僕の腕を掴んで引き止める。僕は少し肩を竦めてみせた。



チトセ「ベネスを殺すつもりなのか？」



カイト「ベネスじゃなくて、アダムって名前らしいよ。本人が言ってた」



チトセ「そんなのどっちだって良い！！何か……殺さなくてすむ方法があるだろ！」



チトセの怒声が響く。その言葉に、竦めていた肩を下ろして振り返った。
怒りに顔を歪ませたチトセが、家族なんだろ、と呟いた。



フウカ「そうだよ！たった一人の家族じゃん！」



僕の腕を掴んでいるフウカの手に、力が入る。カリンも焦ったように声をあげた。



カリン「カイトくんっ……！」



ごめん、フウカ。そう呟いて、僕はフウカの手を振り払った。
初めて、フウカの手を自分から離したと思う。行く宛の無くなったフウカの手は空を掴んだ。


カイト「もうアイツは家族じゃない」


フウカ「え……」


父さんとアダムは違う。同じ顔の、違う人物。僕の家族は父さんで、アダムは……敵。


カイト「フウカのこともあるよ。でもね……僕は、アイツを倒さなきゃいけない。王族だから」



僕は父さんの息子だ。……そして、僕はこの国の王族だ。



この国を守りたいと、思ったから。



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