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ひとつ歳上の優吾とは、大学のゼミで知り合った。
九州の、海のきれいな町から上京してきたという彼は、目に力があって力強く見えて
私の周りの男の子とはどこか違った雰囲気を感じた。
アプローチは、私から。
少し無理をしても、彼に見合うような、大人っぽく知的な女性に。
……実った恋は、爪の先でするりと皮が剥けそうなくらいに熟れた桃のように甘く。
いつか、彼の隣に並ぶ自分に、自信が持てると思っていた。
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付き合い初めて1年ほど経った頃には、家賃削減のためと部屋を同じくするようになった。
「どうしよう」 というのが、彼から同棲の提案を受けた第一の感想で。
結局流されるように一緒に暮らし始めてから、 それははっきりと形を現すようになった。
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「A、洗った食器は同じ向きに並べてって前言わなかった？」
「A？これ、ちょっと味が薄いみたいだけど。味整えてくれる？」
「またスイーツ買ってきたの。……これだから女は」
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頑張れど、頑張れど
謝れど謝れど
彼には認められる事がなかった。
完璧主義？ 私が未熟だからいけないの？
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それでも好きになった人、
誰にも相談できず、生活を続ける私に その時は訪れた。
傍らで通知音を鳴らす彼のスマホ
当の本人はシャワーを浴びに浴室に行っている。
見るつもりなんてなかった、だけど。
『優吾、今度のゴールデンウィークは帰って来れんと？
あたし達、付き合って6年の記念日だよ…』
血の気が引いて、目が離せなかった。
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作者名：まひろ | 作成日時：2023年4月29日 19時
