名前 ページ27
八「あのさーお前いつまで俺のこと
先生って呼ぶつもりなの」
「先生は先生じゃん」
学校を出て今度は役所へ向かう車内で銀八先生がいつも言っていたことを言及してきた
先生は先生でそれ以下でも以上でもない
というのは嘘で、"先生" と呼びすぎて今更名前で呼ぶのなんて照れてしまって呼べないだけ
でももう彼氏も超えて旦那さんになったんだから、先生といつまでも呼ぶのもおかしな話だ
今から銀八って呼べと?
違和感が勝るから無理だ…だったらあの名前で呼んでみようかな
「銀さん…」
八「あんだそりゃ」
夢の中で呼び慣れた幻の人の呼び方
私が作り出したもう1人の先生の姿なんだから、銀さんと呼んでも問題ないはずだよね?
そのはずなのに銀八先生に銀さんという呼び方は何故か変な気持ちだ
やっぱり銀さんは銀さんで、先生は先生で違う人物なのかもしれない
難しい思考をしていると自分でも自覚しているけど、銀さんと呼ぶのは違う、と言うのが結論だ
それに先生自身も納得してない
八「ほれ、銀八って呼んでみろ」
「ちょっと待って心の準備してるの!」
八「へーへーいくらでも待ちますよ眠り姫」
「揶揄うの禁止!」
"銀八" と呼ぶことができる関係に憧れを持ち、昔は妄想で呼びまくっていたくせにいざとなると声に出せないなんて情けない
ドキドキと耳元で騒がしい心音
頭の中で何年もシミュレーションをしてきたんだ、それを言うだけだ、大丈夫
そう自分に言い聞かせるが、緊張して寧ろ口元が緩みニヤけてしまう
赤信号になる度に期待の眼差しを私に向けている銀八先生の笑顔が眩しい
八「なーにニヤニヤしてんだ」
「うっさい」
八「な、早く言えって」
「銀八…」
意を決して銀八と呼ぶと恥ずかしさでぶわっと顔が身体がすごい速度で熱を帯びていく
八「…ッ!
予想以上の破壊力…」
「先生!前、前!」
銀八先生がふざけた反応をすると後ろかプーッとクラクションが鳴らされ
さっきまであった熱が冷め先生から前に視線を向けると赤信号が青信号に変わっていた
先生も慌てて車を発進させれば2人で笑い合う
こんなしょうもない事が銀八先生となら楽しいんだ
八「な、もっかい呼んで」
「やーだよ銀八」
八「クソガキ…」
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作者名:るう | 作成日時:2022年9月3日 22時