銀の幻【坂田銀時】２ (ページ15)

今日:1 hit、昨日:7 hit、合計:12,218 hit

隠し事ページ15

開いているお店に入ってみたけど、これというものがなく、

万事屋の冷蔵庫に辛うじて残っているものでお酒のつまみを作ることになった

1階のお登勢さんのとこに行こうと提案があったけど、

せっかくのお泊りなんだから2人がよくて、今回はお酒だけ恵んでもらうことにした

卵焼きに枝豆、ウィンナーと品数は少ないけど銀さんとまたこうして

お酒を酌み交わすことができる喜びの方で胸がいっぱいだった

長椅子に隣に並び腰を掛けて、透き通った黄金色のウイスキーを互いにグラスに注ぎ合う

銀「んじゃ、お疲れさん」

「お疲れ様です」

何に対してお疲れ様なのか分からないけど、カツンと小さく杯の縁を鳴らし樽の香りがするお酒で喉を潤す

誰かとお酒を飲むのは楽しくて好き

ほろ酔い気分になればいつもは聞けない、言えないことが魔法みたいにスルスル出てくる

誰が好きだとか、嫌いだとか、本音の部分が出てくる

『先生はさー私のこ実際どう思ってんのさ』

八『A？好きに決まってんだろバーカ』

ウイスキーが思い出させた銀八先生との短い会話

それにはほんのりお酒と煙草の香りが入り混じって目に染みて涙目になりそうだ

はッとして銀さんの方を見ると、銀さんは飲み慣れていないウイスキーでカァーっと顔から火が出そうなくらい赤くなっている

良かった…気づかれてない

銀さんへの隠し事が一つ増えた

銀八先生について思い出したことはなるべく銀さんに言わないようにしている

言わない理由は何て説明して良いか分からないから

だってそうでしょ？

銀さんに似た銀八先生は私の学校の先生で、しかも好きだった

寝言は寝て言えって言われるやつだし、銀さんに似た人物何てこの辺じゃあ見たこともない

似てるどころか同一人物にさえ思えて仕方ない

漏れそうな溜め息をハイボールで流し込めばシュワシュワの気泡が口の中でさっきのことと一緒に消えていく

銀「A」

「どしたんです？」

銀「こっちおいで」

放置していた銀さんが寂しさから絡み酒を始めたのか、私を自分の膝の上にひょいと乗せて背後から抱き締める

首にかかる銀さんの吐息は燃えるように熱い