portrait (ページ8)

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目的とか、楽しみが控えている時ってなんでこう、

時間が進むのが遅いというか、

邪魔が入るというか。

"京本くんごめんこれ急ぎでお願いしていい？"

"京本これ、修正指示入ったから今日中に先方に送り直して"

"京本くん……"

金曜日。

華金だなんて名のつくその日は
誰しも浮き足立つ日なのに
今日の俺はどうやらそれに当てはまらない。

別に特別予定があったとか、そういうんじゃないけど。

先週配信された映画でも見ようかな、とか

明日はちょっと早起きしたいから
カメラの準備して早く寝ようかな、とか

行きたかった串カツ屋に寄ってみようかな、とか

予定が無いなりの楽しみがあったりするもの。

だから定時近くなっても一向に減る様子がない、

今日中に片付けなきゃならない仕事の連絡を見てはため息をつく。

樹『…大丈夫そ？』

缶コーヒーを持ってやってきた樹は
俺のパソコンに貼られたいくつもの付箋を見て苦笑いを浮かべた。

大我『…目を逸らしたくはあるけどね。』

樹『手伝う？』

大我『…今日飲みって言ってたじゃん。』

合コンでしょ？と言えば、まぁ…と頭を搔く。

樹『北斗は北斗で今日外だしなー。まあ無理すんなよ。』

大我『ん、ありがと。』

そう言ってデスクに置かれたコーヒーを有難く受け取って
樹の背中を見送ってから大きく伸びをした。

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