portrait (ページ3)

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遊歩道に並ぶ木々たちは、
今年の長い夏のせいか、この時期にしては青い葉が多かった。

その青い葉の隙間から覗く紅葉にピントを合わせ、
何枚かシャッターを切る。

カメラを初めてから、より一層季節に触れる機会が出来たななんて
嬉しい気づきに頬が緩むのを感じながら足を進める。

「ねぇAちゃん！またお写真撮ってー！」

曲がり角の少し先、
ツツジの植え込みの間に跳ねる小学生くらいの女の子が見えた。

「もちろん。じゃあ、ここ見てにこーってして？」

その女の子の目線の先

後ろ姿しか見えないけれど、
白いインスタントカメラのレンズを覗く女性が
しゃがんで目線を合わせて優しくその子に語りかける。

その声に花が咲いたように笑って
にっこりと笑顔を向けた女の子はくるくるとポーズを変えた。

その女性がシャッターを切ると、
インスタントカメラからででくるフィルムを取り出して
その子に差し出す。

ゆっくりと像がハッキリしていく様を、
その子は待ちきれないと言うように目を輝かせた。

「…わぁ！出てきた！見てー！」

「今日も可愛く撮れてるでしょ？」

マコちゃんが可愛いからだねー、と
優しく頭を撫でながらその子にそう問いかける後ろ姿は、
表情が見えていなくとも微笑んでいるのが伝わるほどだった。

…やば、俺、見すぎかな

そんなことを思った矢先、
マコちゃんと呼ばれた女の子が俺の視線に気づいて
なんと、こちらに駆け寄ってきた。

走り出した女の子に驚いたように、
カメラを持ったその人もこちらを見る。