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部屋に入って、Aがずいぶん大荷物なことに気づく。
上着を脱ぎながら、荷物を下ろすAに、
涼太『なんでそんなに荷物あるの？』
『ああ、地元の部屋引き払って、
その時あった荷物で必要なのだけ持ってきたの。
わたしの家、寄ってから来ようと思ったんだけど、
直接来ちゃった。』
早く会いたくて。そう言うAがどうしようもなく可愛くて、頭を撫でる。
『昨日、帰ってこれるはずだったんだけど、
色々、手続きに思ったより手間取っちゃってさ。
連絡もしないでごめんね。』
涼太『…正直、心配したけどね。』
『…ごめんね。待っててくれてありがとう。
涼太、話があるの。聞いてくれる？』
涼太『うん。
座ろうか。』
小さく頷くAの手を引いて、
この前のようにソファに座る
『あの…ね。
わたし、ずっと前の彼のことがあってから
なにか理由をつけて
恋愛することとか
誰かを好きになることから
自ら逃げてたの。』
Aの目から一筋涙が流れた。
『でもね、過去から進む勇気をくれた人がいたから
待っててくれる人がいたから
前に進めたの
わたしはその人と一緒居たいって思ったから
踏み出せたの。』
潤んだ目で、まっすぐ俺を見つめるA。
『わたし、涼太が好きです。
涼太と一緒に居たいです。』
そう言ったAは
今まで見たAのなかで1番綺麗だった。
優しく引き寄せて、抱き締める。
甘くて優しい匂いのする髪
背中にまわる細い腕
ここにAが居ると実感させる体温
可笑しいくらい全てが愛おしい。
腕を緩めて見つめ合うと、
Aは少し笑って、
『なんで涼太が泣くの？』
と言った。
Aに言われて、自分が泣いていることに気づいた。
でもそれは、自分でもわかるくらい優しい涙。
涼太『…A？帰ってきてくれてありがとう。
俺と一緒に居てくれますか？』
『こんなわたしでよかったら、
…わたしと一緒に居てください。』
涼太『A、愛してるよ。』
『…わたしも。』
どちらともなくゆっくり、ゆっくり、唇を重ねた。
唇からお互いの体温が溶け合う感覚に
またひとつ涙が流れた。
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あんな(プロフ) - 千咲さん» 千咲さん、はじめまして。読んで頂き、感想までありがとうございます。励みになります。また作品を作った際には是非宜しくお願いします！ (2020年4月20日 6時) (
レス) id: 8ffbd85a97 (このIDを非表示/違反報告)
千咲(プロフ) - はじめまして。毎回更新を楽しみにさせていただいていました。これからも新作や続編等楽しみにしています！ (2020年4月19日 23時) (レス) id: 7678f63fa6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：an | 作成日時：2020年4月5日 20時
