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ぽかんと口を開けたままだった彼女は、
目を細めてフッと笑い、
『あはは、お兄さん優しいね。
男の人にこんなふうに優しくされたの久しぶり。
ありがとう。』
そう言って立ち上がる。
彼女は思い出したように短く『あ、』と言って、
小さな赤い鞄から何かを取り出して
俺の目の前に差し出した。
涼太『…なにこれ。』
目の前には飴玉と、
白地に赤の花の刺繍のあるハンカチ
状況のわからない俺にまたフッと微笑んで
『だってお兄さん、泣きそうな顔してるから。』
唖然とする俺に飴とハンカチを握らせて、
じゃあね、と言いながら落ちていた傘を拾って
立ち去ろうとする彼女
2メートルくらい離れたところでこちらに振り向いて、
『名前言ってなかったよね。わたしはA。
お兄さんいてくれて助かったよ』
『またね』小さくそう言って、
妖艶な笑みを俺に残してヒールを鳴らし、
夜の街へ消えていった。
手のひらに残るミルク味の飴玉と、
小さなハンカチ。
"またね"
その言葉に少し踊るこの心臓はなんだろうか。
その時の俺には知る由も無かった。
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あんな(プロフ) - 千咲さん» 千咲さん、はじめまして。読んで頂き、感想までありがとうございます。励みになります。また作品を作った際には是非宜しくお願いします！ (2020年4月20日 6時) (
レス) id: 8ffbd85a97 (このIDを非表示/違反報告)
千咲(プロフ) - はじめまして。毎回更新を楽しみにさせていただいていました。これからも新作や続編等楽しみにしています！ (2020年4月19日 23時) (レス) id: 7678f63fa6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：an | 作成日時：2020年4月5日 20時
