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.side YOU
どれくらい時間が経っただろう。
ゆっくりと涼太が体を離す。
少し赤くなった目には気づかないフリをした。
涼太『…ありがとう。』
ゆっくりわたしは首をふる。
『そろそろ帰る？』
涼太『そうだね。』
涼太の上着を取りに、立ち上がろうとした
わたしの右手を涼太が掴む
『何？』
涼太『また、会える？』
わたしを見上げる真っ直ぐな視線に
ひとつため息を零す。
『…メモある？』
不思議そうな顔をしながら、わたしに手帳のメモ欄と、ペンを差し出す
そこに書く、わたしの電話番号とID。
渡すと一瞬驚いてから、
ありがとう、って、嬉しそうな顔をする。
ああ、この人はなんて"綺麗"な人なんだ
出口まで見送りに出ると、外はまだ冷える。
けれど、春の近づく匂いがした。
ビル街の隙間から見える空には幾つか星が光る。
涼太『今日はありがとう。』
『こちらこそ。
あ…もう、ここには来ないでね。』
涼太『…どうして？』
寂しそうな顔をして覗き込んでくる。
『…あなたにはここは似合わないよ。』
それに、わたしがやりづらいし。
と付け加えて、目を合わす。
そっか。と言いながら空を仰ぐ涼太は、もう泣きそうな顔をしていなかった。
『じゃあ、またね。涼太。』
そう言うと、涼太は優しく笑って頷いた。
涼太『連絡するよ。A、おやすみ。』
そう言って、優しくわたしの頭を撫でる。
彼が遠ざかっていくのを、
背中が見えなくなるまでぼんやりと眺めていた。
背中に回った涼太の腕の感触
包まれた時の匂い
このまま、ずっと、いられたらなんて
そんなこと思ってはいけないと
戒めるかのように
強く冷たい風が吹いた。
"俺を変えてしまったのは、Aなんだよ？"
苦しい。くるしい。
ああ、その言葉が永遠にわたしを苦しめる。
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あんな(プロフ) - 千咲さん» 千咲さん、はじめまして。読んで頂き、感想までありがとうございます。励みになります。また作品を作った際には是非宜しくお願いします！ (2020年4月20日 6時) (
レス) id: 8ffbd85a97 (このIDを非表示/違反報告)
千咲(プロフ) - はじめまして。毎回更新を楽しみにさせていただいていました。これからも新作や続編等楽しみにしています！ (2020年4月19日 23時) (レス) id: 7678f63fa6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：an | 作成日時：2020年4月5日 20時
