嗚呼愛しの ページ6
ぽかぽかと暖かで晴れ空の今日。
こんな日はやはりピクニックに行きたくなる。
それはもちろん、この人たちだっておんなじなのだ。
「イタチさん、そろそろお昼にしませんか」
「……ああ」
アジトから少し離れた森のなかで鬼鮫とイタチはピクニックに来ていた。
木漏れ日に照らされ透き通った小川が流れていて、小鳥の声が響くその場所は、まさに桃源郷と言わざるを得ない。
イタチはくつをぬぎ、裸足になって、川に足を浸けて気持ち良さそうに動かしている。
鬼鮫はそんな姿を、微笑ましそうに見ながら今朝にぎったおにぎりを鞄から取りだす。
「イタチさんの好きな昆布
は切れてましてねぇ。今日は昆布じゃないんですよ。でもその代わりに団子も持ってきましたから」
「ありがとう、別に気を使わなくていいんだが。さっそく頂くとするか」
鬼鮫からラップに包まれたおにぎりを一つ受け取る。
そして川から足を出し、木陰を背もたれにしてさっそく一口食べる。
「イタチさん、どうですか……………………え」
鬼鮫は笑顔で振り返ったまま思わず静止する。
なんと、イタチは端正な顔をこれでもかというほどくしゃくしゃにして、涙を流して物凄い顔で泣いているではないか。
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作者名:のこいち | 作成日時:2015年10月9日 22時