愛・夢・幸に包まれた歌姫 (ページ9)

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ギターを出した彼女はヒロさんに向き直った。

「何かリクエストはありますか？」

ヒロ「じゃあ、君が一番好きな曲で。」

ヒロさんの言葉にメンバー達の方が反応を示す。

ヒロ「何？笑」

直人「いや、あの笑
彼女、俺らのファンみたいで、笑」

ヒロ「ああ、それは嬉しいな。笑」

小声で少し話したあと、ヒロさんはまた彼女に向き直った。

それを確認したAちゃんは指を動かして音を奏でる。

その曲はやはり、『LOVE SONG』

『無防備な顔して君が笑う度に

思わずどうしようもなく胸に溢れる I Love You〜♪』

透き通った声にボーカル組は目を見開く。

安定した声に伸びるビブラート。

しっかりと曲を自分のものとして歌う姿に目を奪われた。

俺達の曲なのに俺達の曲では無いような不思議な感覚。

この子には、才能が溢れている。

『その瞳に今僕らの未来がうつった

“アイシテル”と呆れるくらい
いつも言って抱きしめるから

汚れのない風吹く空を見上げたその瞬間
君が想い浮かべる人がきっと僕でありますように〜♪』

目を瞑って微笑みながら、幸せそうに歌う彼女は本当に歌をこの曲を愛してくれているのだとわかった。

知らぬ内に涙が出ていたみたいだ。

涙を拭うと、健二郎も感動しているのか、手で目を覆い泣いている姿が目に入った。

それをELLYと岩ちゃんが笑いながら肩を叩いて慰めていた。

歌い終わるとホッとしているAちゃんに拍手を送る。

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