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隆二「デビューした実感はどう？」
「んー、あんまり実感は湧かないですね。なんか夢見てるみたいです。
いつもテレビ越しで見ていたステージで、自分が歌ったなんて、まだ信じられないです。笑」
広臣「そうだよな。俺らもそうだった。笑」
隆二「テレビつけたら自分がいるんだもんね。最初の頃はこう、なんていうか気持ちがふわふわしてた。笑」
剛典「ヒロさんにあの話はしたの？」
「しました！会議で検討するそうです。」
剛典「そっか！…いや〜凄いなぁ。」
「何がですか？」
手に持つグラスを遠い目で見ながら、呟く剛典くんに疑問が湧いた。
すると私を見てニコッと笑いながら言葉を続けた。
剛典「自分でどんどん道を切り開いていってるからさ。
俺らはまだ業界について知らないことの方が多いじゃん？
ましてやAは今日デビューしたのに、不安もあるだろうけど、その中で挑戦しようとするのが凄いなって、」
ELLY「そうだねぇ…。
夢を売る仕事ではあるけど、裏側はいろいろあるからね。Aみたいに強くいられる人は珍しいんだよ。」
何かを思い出しているのか、いつもは優しい色をしているその瞳が、揺れているような気がした。
「私、そんなに強くないですよ。」
剛典「え〜？」
「いや、ほんとに。笑
皆さんがデビューするまでは、歌手になることは諦めてましたし、人前に出ることだって本当は好きじゃないです。」
健二郎「そうなん？！」
「はい。笑
でも、あのオーディションを見て思ったんです。
こんなに必死に夢を掴もうとする人がいるのに、私は何してるんだろうって。
自分の人生なのに、誰かに言われるがまま、無理だって諦めるなんて、バカバカしいと思いませんか？
1度きりの人生、自分の好きに生きた方が、楽しいじゃないですか。」
芸能界で輝き続けることが出来るのはほんのひと握りだけ。
そんなこと分かってる。
そこに私はこれから居続けられるかわからない。
でも、何もしないで終わるより、やって終わる方がずっといい。
それが失敗したとしても、次に活かす材料と思えばいい。
材料が増えれば増えるほど、強くなれるのだから。
「怖がっていたら、何も始まらないんです。」
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作者名：さくら | 作成日時：2023年2月23日 20時
