第46話* ページ10
「げほっげほっ」と咳き込む声だけが部屋に鳴り響く。
見た目や性格に反して身体は弱い方であるAは季節の変わり目には体調を崩しやすく、夏も終わり秋に入ったと思ったら急激に寒くなり等々熱を出してしまった。
今日は誰が家に居たっけな、とヨロヨロと起き上がってキッチンへ。
全く人の気配がせずスケジュール表を見ると、見事に全員外に出ていた。
体調が悪いと素直に朝告げておけば良かったな、と冷蔵庫を開ける。
あらきとnqrseは打ち合わせ、めいちゃんはレコーディング。忙しいことは重々承知なのであえて体調が悪いことは告げず『ゼリーを買ってきて』とだけメッセージを送った。
静かな部屋に弱った自分一人。色んな家具が作動する音しか聞こえないこの空間は、無機質な一人暮らしの頃を思い出す。
何とも言えない気持ちになってしまい、バレたら怒られるかもしれないと思いながらも、リビングに置いてあった脱ぎっぱなしのめいちゃんのパーカーと、nqrseの部屋着、いつの間にかあらきの部屋から此処へ移動してきていたキャラクターのぬいぐるみを抱き締め、ソファに寝転び、視界はブラックアウトした。
『……？』
何時間経ったか、ゆっくりと意識が戻って頭にある重みの方へ視線を向ける。
nqrseが「仕方ない」と言うような少し呆れ気味の表情で頭を撫でてくれていた。
「おきないからあせっちゃった」
『……おかえり』
「ただいま。遅くなってごめんね」
「そんなことない」とゆっくりまた目を閉じると、今度は額に冷たさを感じる。
「熱あんなら言ってよ、しかもこんなとこで寝て」
『…あらきさ、』
「何も食ってねーでしょ？今めいちゃんがお粥作ってるから待ってな」
ペタリと張り替えられた冷却シートに頭痛が少し治まった気がして、全員が居るという安心感もあり、また目を閉じる。
めいちゃんの料理する音と、あらきとnqrseが話す声。やっぱりこっちの方が好きだ。
「なるせのお椀もちょうだい」
「ダメー！これ全部食べるのがAのノルマ」
「ちっ、スプーンかせ！なるせがふーふーすんの」
「そのまま食べちゃダメだから！」
「これこれ、病人の上で喧嘩すんな」
寝起きと熱の所為でぽけっと間抜けな表情で言い合う2人を眺める。
その視線に気付いたnqrseにまたわしゃわしゃと頭を撫でられ、めいちゃんに擽るようにして頬を撫でられた。
後に3人の私物を抱いて眠っていた事を弄られて怒ることになる。
リクエスト【体調不良で心細くなっちゃう話】
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憐(プロフ) - ち ひ ろさん» コメントありがとうございます！順次更新しますのでお待ちください！ (8月3日 12時) (
レス) id: 1d38a41f1c (このIDを非表示/違反報告)
ち ひ ろ(プロフ) - 以前はリクエストの素敵なお話ありがとうございました！再びリクエストなのですが、暑い日が続いているので4人で海やプールに行くお話が読んでみたいです。 (8月2日 12時) (レス) id: d14445efc4 (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます。とても助かりました；；今後のお話も楽しみにしております (7月5日 19時) (レス) @page46 id: 4c715eefda (このIDを非表示/違反報告)
RRR(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございました！お体に気をつけて頑張ってください。 (7月2日 11時) (レス) @page44 id: 9a70e09dc0 (このIDを非表示/違反報告)
憐(プロフ) - りくさん» ありがとうございます！順次更新していくのでお待ちください！ (6月27日 21時) (レス) id: 1d38a41f1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：憐
| 作成日時：2022年9月9日 23時
