第75話 ページ49
「非常に気に入らない」とAは思っていた。
あらきの夏ツアーが終了し、ゲスト出演のめいちゃん、A、そしてライブの運営を手伝っていたnqrseとスタッフ陣を交えての打ち上げ中、あらきは各方面へ乾杯に回り、めいちゃんとnqrseはスタッフと和気藹々と会話をしていた。
そんな中で見てしまったのだ。
若い女性スタッフの一人があらきの腕へ絡み、nqrseに上目遣いをし、めいちゃんに甘い声で声を掛けているのを。
明らかに媚びを売るような仕草の女性に最初はムッとしたが、仕事の延長線でもある酒の場だと言うことを思い出しすぐに気を取り直して食事をしていると、その女性が自分の隣へやってきた。
ふわりと匂う甘い香りに笑う時も口元を隠して上品に。持っているお酒は弱く甘いもの。
この人に悪意があろうが無かろうがどうでもいい話だが、自分と比較する為に隣に座られた気がして何とも居心地が悪い。
その場に居座りそうな勢いで料理まで注文し始めた彼女に、段々と距離をとるように体を小さくしていくA。
誰か気付いてくれないかな、なんて他人任せで女々しい事を思った。
体調が優れないと偽って帰ろうかと荷物を纏めていると、後ろからふわりと引き寄せられた。
「なにしてんの」
少しアルコールが入り顔が赤いnqrseが「ようやく見つけた」と言うようにぎゅっと抱き寄せる。
が、先程の女性の香水の匂いがして直ぐに引き剥がす。
『やめてください』
「なんで」
『嫌な匂いがします』
『3人とも』と2人の姿を見てやってきたあらきとめいちゃんに向けても言い放った。
彼女でもないのに我ながら面倒臭いとは思う。
「ごめん、なるせも流石にきついとは思ってるけど」
「そろそろお開きにしますか。俺も風呂入りてぇし」
「えー？ラーメン食ってから帰りましょーよ。めいちゃん腹減ったぁ」
機嫌の悪いAを察して直ぐに自分を優先してくれる姿に、やはり優越感を感じて、それがまた心地良い。
「なるせとラーメン半分こして」
『みんなお腹すき過ぎじゃないですか？』
「香水の匂いよりラーメンの匂いの方が好き！」
「何じゃそら」
自分を囲む3人の間から先程の女性を見る。
自分達の話す姿を見て微かに唇を噛むのが見えた。
たまには良いでしょう？こんな女っぽい感情を出しても。
『…とっちゃダメだよ』
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憐(プロフ) - ち ひ ろさん» コメントありがとうございます！順次更新しますのでお待ちください！ (8月3日 12時) (
レス) id: 1d38a41f1c (このIDを非表示/違反報告)
ち ひ ろ(プロフ) - 以前はリクエストの素敵なお話ありがとうございました！再びリクエストなのですが、暑い日が続いているので4人で海やプールに行くお話が読んでみたいです。 (8月2日 12時) (レス) id: d14445efc4 (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます。とても助かりました；；今後のお話も楽しみにしております (7月5日 19時) (レス) @page46 id: 4c715eefda (このIDを非表示/違反報告)
RRR(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございました！お体に気をつけて頑張ってください。 (7月2日 11時) (レス) @page44 id: 9a70e09dc0 (このIDを非表示/違反報告)
憐(プロフ) - りくさん» ありがとうございます！順次更新していくのでお待ちください！ (6月27日 21時) (レス) id: 1d38a41f1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：憐
| 作成日時：2022年9月9日 23時
