第65話 ページ33
「めいちゃんさんって、彼女居るんですか？」
『えっ？』
ミーティング中にレーベル社員から言われた一言に分かりやすく動揺してしまったA。
それを聞いたもう一人の女性社員が「あらきさんも彼女って居るんですか？」と便乗するように聞いてきた。
『え？多分、居ないと思いますけど』
「良かった〜！めいちゃんさんとたまに会社で会うんですけど、何時見てもかっこよくて可愛い人だな〜って思ってて！」
「それを言うならあらきさんだってあぁ見えて凄く優しい方ですよね？素敵だなって思ってたんですよ」
何処からか「なるせわい」とあの不機嫌のような顔が浮かぶ。が、そんな顔も思い浮かんだのは一瞬で、思い出したように社員が更に話し始める。
「そう言えばあの新人さん、なるせさんにアタックしたって聞いたけど、どうだったんだろうね〜」
「私もまだ聞いてないです。なるせさん、優しいからなぁ…」
「聞いてないが？」と密かに眉間に皺が寄る。
確かに自分達にはそういう感情こそは無いが、家族同然だと公言してきた仲だろう。そんな面白そうな話を黙っていたなんて。
モヤモヤとするAを他所に2人の社員は恋愛話をし始めて、本人達を始め自分が知らない間に彼等をそんな目で見ている人がいたとは思いもしなかった。
「そういえば雨さんはそういうのないんですか？」
「やっぱりひとつ屋根の下で男性3人と暮らしてるなんて何も無いはずないですよね！？」
女性はいつまで経ってもそういう話が好きなんだな、と乾いた笑いが出る。
散々経験してきた流れになりそうで少し嫌な気持ち。
あの3人が異性だからって必ずそんな気持ちが芽ばえるとは限らないだろう。自分は兄や弟に恋心を抱くのか。…いや、抱く人も居ると思うけど。そういう事じゃないんだよ。
と、考えながら居心地悪くなってきた空間に段々と身を小さくしていると、後ろから手が伸びてきて、からかうように目を覆われそのまま頭を引き寄せられた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 726人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
憐(プロフ) - ち ひ ろさん» コメントありがとうございます！順次更新しますのでお待ちください！ (8月3日 12時) (
レス) id: 1d38a41f1c (このIDを非表示/違反報告)
ち ひ ろ(プロフ) - 以前はリクエストの素敵なお話ありがとうございました！再びリクエストなのですが、暑い日が続いているので4人で海やプールに行くお話が読んでみたいです。 (8月2日 12時) (レス) id: d14445efc4 (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます。とても助かりました；；今後のお話も楽しみにしております (7月5日 19時) (レス) @page46 id: 4c715eefda (このIDを非表示/違反報告)
RRR(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございました！お体に気をつけて頑張ってください。 (7月2日 11時) (レス) @page44 id: 9a70e09dc0 (このIDを非表示/違反報告)
憐(プロフ) - りくさん» ありがとうございます！順次更新していくのでお待ちください！ (6月27日 21時) (レス) id: 1d38a41f1c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：憐
| 作成日時：2022年9月9日 23時
