第41話 ページ3
"それ"は、唐突に気配もなくそこに現れる。
何処から来たのかも、何時から居たのかも分からない。
ただ己の内にあるのは"恐怖"という言葉だけだった。
「みんなー、おやつの時間でーす」
今日もやってきた猫達のおやつタイム。
猫達の大好きなおやつを箱ごと持ってきたのに、走って来るどころか1匹もあらきの元へはやって来ず、ウロウロと探し回ると全員客室に居た。
元々日当たりの良いこの部屋は、普段は猫達のお昼寝スポットになっており、全員ここに居るのは何ら不思議では無いのだが、部屋に足を踏み入れた瞬間、あらきの足はピタリと止まる。
猫達が揃って壁を見上げる先に黒いものが見えた。
生憎眼鏡を部屋に置いてきてしまって視力が低下した状態の裸眼でもわかるあのシルエット。
黒く妙に光沢感のある羽。左右忙しく動く2本の触角。予測不能でありながら俊敏な動き。
"それ"を何か理解した瞬間「ひっ」と小さく悲鳴が出る。
「なるせ！なるせたすけて！」
客室から一番近いnqrseの部屋に駆け込み、作業している肩を揺する。
「いきなりなんだ」と鬱陶しそうにヘッドホンを外して、あらきに案内されるがまま客室へ行くと、同じように「ひっ」と悲鳴を上げた。
「めい呼んで」
「めいちゃん撮影っすよ今」
「無いわもうまじできもい」
「外から入っちゃったんですかね…？」
「どうするよ」
どうするも何もこのままで良いはずはない。
仮に猫達がちょっかいを出してしまったらと考えると今すぐにでも退治しなければいけない。
虫関連の事はめいちゃんが一瞬で対処するので生憎うちには殺虫剤は切らしてそのまま置いていなかった。
どうやって退治しようかと悩んでいると、バンッと扉を開け入ってきたのはA。
スタスタと虫の元へ行き、ベランダ用のスリッパで勢いよく叩き潰した。
あらきとnqrseはその素早い行動に唖然とするだけ。
『キッチンペーパーお願いします』
「…あ、はい」
何重にも巻かれたキッチンペーパーで虫を処理し、袋に入れて、仮にまだ息があったとしても逃げられないように念には念を入れて捨てた。
「え、なんで出来んの？そんなこと」
『昔バイト先で大量に遭遇した時期がありまして』
「Aってお化けも平気だし意外と最強説あるのでは？」
「第2のめいちゃん…？」
『不名誉ですね』
「こら、泣くぞあいつ」
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憐(プロフ) - ち ひ ろさん» コメントありがとうございます！順次更新しますのでお待ちください！ (8月3日 12時) (
レス) id: 1d38a41f1c (このIDを非表示/違反報告)
ち ひ ろ(プロフ) - 以前はリクエストの素敵なお話ありがとうございました！再びリクエストなのですが、暑い日が続いているので4人で海やプールに行くお話が読んでみたいです。 (8月2日 12時) (レス) id: d14445efc4 (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます。とても助かりました；；今後のお話も楽しみにしております (7月5日 19時) (レス) @page46 id: 4c715eefda (このIDを非表示/違反報告)
RRR(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございました！お体に気をつけて頑張ってください。 (7月2日 11時) (レス) @page44 id: 9a70e09dc0 (このIDを非表示/違反報告)
憐(プロフ) - りくさん» ありがとうございます！順次更新していくのでお待ちください！ (6月27日 21時) (レス) id: 1d38a41f1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：憐
| 作成日時：2022年9月9日 23時
