元・白銀の聖騎士 (ページ19)

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「んじゃここで大人しくしてるんだぞ」

「ん、ボクおとなしくまってるよ～」

小さくなっても間抜けした口調のAの頭をひとしきり撫でた後、ベルガモはフィールド内へ向かった

あのあと色々と試して見たが、体が小さくなっても普段の記憶はハッキリあるが思考的なものが子供になってしまったようだ

「ほんとにボク、ちいさくなっちゃったんだ…」

Aは普段は寝間着で使っていた、今着るとブカブカになってしまうパーカーからちょこんとはみ出た指先を見つめる

普段は余裕で足が届くはずなのにフィールドに今はつま先をつけることすら出来ない

「ベルの手って、あんなにおおきかったっけ？」

足をブラブラさせて呟くその姿は、買い物が長引いて親に構ってもらえないのを面白く思っていない子供そのものだ

こんなに小さな姿ではマネージャーの仕事を行うことも出来ず、今日はAは選手の練習を見ているだけになってしまった

「ひまだなぁ」

と言いつつもこれはある意味では良い機会かもしれないと思い、Aは選手達に向き直る

いつの間にか時計の針は何時間も過ぎていた

「ん？」

練習を終え、監督からアドバイスをもらい終えたクラリオとベルガモはある光景に足を止めた

フィールドの端にあるベンチに選手達が集まっているのだ

「何をしている」

「あ、クラリオさん。見て下さいよ」

選手達が左右に分かれ、クラリオとベルガモに道を開けると二人はその先のものを見つめた

「ｽｩ………ｽｩ……」

そこにはいつの間にかベンチに横たわり、すやすやと子猫の可愛らしく眠るAがいた

ブカブカのパーカーに身を覆われているため、ソレが毛布代わりになっているようだ

「可愛いですね…」

「あぁ」

呟いただけのエメリコの言葉にクラリオが返してしまうほどAの眠る姿に癒しのようなものを感じていた

「流石にこんなところにいては風邪を引くだろう。誰か部屋に運んでやってくれないか？」

「俺が行く」

誰よりも先に名乗りを上げたのはクラリオの隣で立ち尽くしていたベルガモだ

他に誰も名乗り出さないことを確認すると、ベルガモはAを起こさないようにゆっくりと抱き上げる

そしてスタスタと行ってしまった

「アイツ、無自覚なんだか自覚してんのか分からないな」

「多分後者よりですよ」

そんな会話をされているなど、彼が知る由もなかった