友達探し19日目 ページ20
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「……あ。そろそろイルカショーの時間じゃないか?」
腕時計に目を向けて、桜庭はそう云った。なんだかんだでしっかり時間は気にしていたらしい。さすが。
『おお、いつのまにそんな時間に…………じゃあ作之助君、ばいばーい!』
「おねーちゃんたち、ありがとー!ばいばい!」
『ほら、桜庭ちゃんもっ』
「は!?」
『はやくはやく』
そして、桜庭はぼそっと「……ばいばい」と呟いた。おいお前悪魔って設定は何処行った。滅茶苦茶可愛いじゃねえかこの野郎。←
赤い髪をした「作之助」と呼ばれた小さい男の子は、両親の元に帰りその手を繋いだ。
三人の家族は其の儘歩いて行き、やがてその後ろ姿が見えなくなる。
桜庭が声を漏らした。
「………………ん?」
『……?如何しました?桜庭ちゃん』
「や……作之助って……何処かで聞いたような……あれ?」
『……ほー……友達にそんな名前の人が居たんでしょうかね……?』
「んー…………駄目だ。思い出せねぇや」
それより早く行こうぜ。と桜庭は新美を急かす。
その様子に、新美は「桜庭ちゃん楽しんでるなぁ」とほっこりしたとかなんとか。
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その後。
某ちっちゃくなっちゃった高校生名探偵とは違い「歩く死神」でもなんでもない新美と桜庭は、無事イルカショーを最後まで見ることが出来た。
イルカショーが終わり、何の未練も残さずに二人は水族館を出た。
……すると、突然新美がこう切り出したのである。
『……桜庭ちゃん』
「あ?」
『喉乾きました……』
「……自販機行くか?」
『……そうします』
自販機に行き、新美は林檎のジュースの釦を押す。ペットボトルの落ちてくる音が聞こえた。
『………………っぷはぁ……!桜庭ちゃんは如何です?何か飲みますか?』
「……アタシはいいや。さっさと帰ろうぜ」
『……一寸待ってください』
「今度は何だ」
新美の顔を見た桜庭は、其処で思わず口をつぐむ。
……新美Aが、今迄見たことのないような真剣な顔をして、近くの路地裏を睨みつけていたからだ。
「…………何か、あるのか?」
『…………桜庭ちゃんは先に帰っていてください』
「は……?」
『いいから』
有無を云わさない強い語気に、桜庭は反射的にこくりと頷く。
新美はその路地裏に入っていった。が、桜庭はその後ろ姿を目で追いかける。
若しあの少女に何かあったら……。…………探偵社の名探偵が暴走する姿が目に見えた。
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みず(プロフ) - 即直してきました。完璧です(ドヤ顔) (2018年9月22日 22時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - ゆあさん» ふひゃああああああぁああああ!!!!やっちまったぜスライディング土下座ーーーー!!!!(ズザアアアアアアアアアア) (2018年9月22日 22時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - いやみずちゃーん!かなり前にも言ったが“弁別”よ!!不覚にも吹いたその二よ!!!← (2018年9月22日 22時) (レス) id: be7752c821 (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - ゆあさん» 与謝野先生の解体ショー(?)、新美ちゃんは未だ受けてないらしいです。 (2018年8月29日 15時) (レス) id: 40c42479fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 大丈夫だ桜庭ちゃん。皆、これを経験して大人になるんだよ(`・ω・)bグッ! (2018年8月29日 13時) (レス) id: 2d3bbb4ab3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みず | 作者ホームページ:http://twpf.jp/uranai_mizu
作成日時:2018年4月3日 19時