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122話 ブーメラン刺さりまくってるぞ猫又さん ページ7




『ああ、それはきっと』



真っ黒に塗りつぶされて光のない瞳が、私達をじいつと眺めている。

……聞いたことがあった。たった一度、小規模な異変を起こした妖怪のことを。
長い年月生きてきた大妖怪のことを。


ーー伊奈莉ちゃんたちの、実の親。九尾だ。

霊夢の腕を弱々しく掴み、伏見は涙まじりの声で呟く。その目はゆらゆらと、迷っているかのように、涙で滲んで揺れていた。



「お母さん」


その声を聞いた瞬間、ぴく、とぼさぼさの黒髪が動いた。


「もう目を覚ましてよ」



……彼女はぽろりと一粒だけ涙を流し、邪気のなくなった目で伏見を見た。
霊夢は伏見の前から退き、伏見は彼女ーー九尾の目の前まで歩いて、しゃがみこむ。

二人の目が合った。


「………………、み」

「「「『!!』」」」


確かに聞こえた。九尾の声だ。
弱々しくてか細い声だったけど、ちゃんと耳に入ってきた。
綺麗な声。なんて言ったのかは、分からない。


「ふし、み」

「…………母さん」

「ふしみ……」


ぼろぼろぼろ。涙は止まらず、九尾の顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。
でもその頬は綺麗な薔薇色に染まっている。

……でも……どうしていきなり自我が戻ったんだ?伏見を見て正気を取り戻したとか……?



「ごめんなさい、わたし、私」


「……ごめんなさい……」



…………それに、使用人の人達は九尾の下で働いてるから、九尾だってこの子供たちを良くは思ってないはずなんじゃ……。

疑問は後から後から出てくる。まあそんなのは今度考えるか直接聞きゃいい。
それよりも、今は……。



『…………おい』

「うん?どうしたのかな、猫又」


ぐい、と半ば強引に、男のふたまたに分かれた尻尾を掴む。
飄々とした態度にイラつき掴んだ手に力を込めると「いででででで」と男は声を上げた。


『おいうるせえよ今感動のシーンなんだから声抑えろ』

「無茶言わないで???……というかなんでそんなに冷たいのさ猫又ちゃーん、お義兄ちゃん(・・・・・・)ってもう呼んでくれないの?」

『え?クソ義兄ちゃん?』

「うん二文字多いね」

『めんどくせえなお前……』

「いや理不尽!!これ俺が悪いの!?」



ーー仙狸(せんり)。私の義理の兄だ。

めちゃくちゃシスコンでうっとうしいし、ことあるごとに抱きつこうとしてくる。
まったく。無視が一番なんだよこういうのは。(ブーメラン)

123話 注意!今回のお話はちょっと短いぞ!→←121話 使用人の女の子



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リア - はじめまして。更新復活して嬉しいです! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 5b8d6aacc8 (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - 猫丸。さん» 果たして勝つのはどっちだ!?次回、猫又ちゃん死す!デュエルスタンバイ! (2020年3月25日 15時) (レス) id: 0b6159a6d2 (このIDを非表示/違反報告)
猫丸。 - あっ、おいなり三兄妹が!!!!戻ってこーい!!!(無理です)叩いて被ってじゃんけんポン、私は物凄く弱いんだぜ、舐めるなよ(某タンポポ) (2020年3月25日 8時) (レス) id: 144e3b7d1c (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - 猫丸。さん» 仙狸くんはめちゃくちゃシスコンです!!!!!! (2020年3月22日 15時) (レス) id: 0b6159a6d2 (このIDを非表示/違反報告)
猫丸。 - えっ、まさかのシスコン?シスコンですか??私そういうの大好きなんだよね、だいすき(?)実際猫又ちゃんもブラコンだったり………… (2020年3月22日 14時) (レス) id: 144e3b7d1c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みず | 作成日時:2020年3月13日 18時

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