136話 大会当日 ページ21
・
そう思ったのが分かったのか、ユートくんは握った手に力を込めた。
「もう、それはいいよ。俺たちから逃げたいんなら好きなだけ逃げればいい。そしたら俺たちが、探してあげるから」
何度だって探してあげる。
そう言って、ユートくんは少し意地悪そうに笑った。
「逃がしてなんてあげないよ。例えこの手を振りほどかれても突き放されても、俺はあなたを見つけて、手を繋いでてあげる」
『……ユートくん』
「……あなたは逃げ足が早いけど、追いつけるから。いや、違うな。追いつくからさ、きっと」
少し泣きそうになっちゃったから、必死にそれを堪えてこくりと頷く。
するとユートくんは私と目を合わせて、私の頭を、空いているもう片方の手で撫でた。
「よしよし。いい子、いい子」と優しくて柔らかい声色で言われて、私は抵抗する全ての術を失った。
『……本当に?何回も?自分で言うのもなんだけど、私怖がりだから、たくさん逃げちゃうよ……?』
「……うん。いいよ」
ユートくんがそう言って笑ってくれるから、つられて私も笑う。
月明かりが、縁側を優しく照らしていた。
□
「大会当日だーーーっっ!!」
「「「わーーいっっ!!」」」
『いや皆テンション高くない!?なに!?今日何かあったっけ!?』
みぃちゃんを筆頭に、あぃちゃん、霊夢、魔理沙がめちゃくちゃテンション上がっている。
いやまぁ全員可愛いけど何がどうしてそうなった!?
「まあそりゃテンションも高くなるだろうよ。ご馳走と百万が手に入るんだし」
『待て魔理沙!!優勝できるって決まったわけじゃないぞ!?!?!?』
「まあまあ、みんなお前を信頼してるんだよ」
『うう……こんな信頼やだ……』
思わず顔を覆う。どうしてこうなった。
【ーーこれから開会式を始めます!参加者の皆様、お集まりください!】
可愛らしい声がマイクを通してあたりに響く。……う、うん……????
『……おい待てなんだこの声は』
「ん?ああ、フランの声だな。この大会の主催は確か紅魔館の奴らだったはず……それがどうかしたか?」
137話 根性と気合いで優勝まで突っ走れ!→←135話 スペルカードルール
7人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リア - はじめまして。更新復活して嬉しいです! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 5b8d6aacc8 (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - 猫丸。さん» 果たして勝つのはどっちだ!?次回、猫又ちゃん死す!デュエルスタンバイ! (2020年3月25日 15時) (レス) id: 0b6159a6d2 (このIDを非表示/違反報告)
猫丸。 - あっ、おいなり三兄妹が!!!!戻ってこーい!!!(無理です)叩いて被ってじゃんけんポン、私は物凄く弱いんだぜ、舐めるなよ(某タンポポ) (2020年3月25日 8時) (レス) id: 144e3b7d1c (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - 猫丸。さん» 仙狸くんはめちゃくちゃシスコンです!!!!!! (2020年3月22日 15時) (レス) id: 0b6159a6d2 (このIDを非表示/違反報告)
猫丸。 - えっ、まさかのシスコン?シスコンですか??私そういうの大好きなんだよね、だいすき(?)実際猫又ちゃんもブラコンだったり………… (2020年3月22日 14時) (レス) id: 144e3b7d1c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みず | 作成日時:2020年3月13日 18時