約束、覚えてますか《Kosei》 (ページ43)

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光成が帰ってきてから2度目だ。

前にこの部屋に通されたのは…たった数日前。

それなのにあの時とは何もかもが違って見えるのはきっと…私がいろいろ知ってしまったから。

だけど不思議と後悔はしてない。むしろ、知れて良かった

『…多分全部聞いてると思うけど、改めて俺から言わせてほしい』

「うん、何？」

『その前にひとつだけ。Aのせいじゃないってことだけは、覚えといて』

「えっ、と…わかった」

念を押すようにそう言った光成に頷いて、次の言葉を待つ。

だけど、思っているように言葉を紡げないのか…彼の声は聞こえてこない。

チラッと視線を彼に向ければ、やっぱり自分からは言いたくないのか…俯きながら両手を膝の上でぎゅうっと握りしめて唇を噛む

大丈夫だよ、と伝えるように彼の握りしめられた手に触れて優しく包み込むと…光成はゆっくりと言葉を繋いでいった

『俺がさらわれたあの日のことは、鮮明に覚えてる。Aと一緒に遊んでた…』

「そうだよ、いつも通り遊んでた」

『その時、小学生でもわかるぐらい明らかに怪しい人がいて…そいつは、Aのこと見てたんだ…』

「私…？」

『多分、本来狙いたかったのは俺じゃなくて…Aだったんだと思う。だから俺は、わざと競争しようって嘘ついてAを先に行かせてそいつに捕まったんだ』

「嘘、そんな…」

『後からあいつが言ってたんだ、あの時…お前を捕まえといて良かったって。俺、その時…やっとAから目を背けさせる事が出来た、守れたってホッとしちゃってさ…』