約束、覚えてますか《Kosei》 (ページ38)

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元木side

昔、俺が檜山と出会った時…あいつはこの場にいるにも関わらず、目の奥に光…希望があった。

檜山はまだ小さくて、もちろんそれは俺も同じ。やることも同じ。

だけど唯一違うことがあった。それは、この場にいる理由だ

『湧はさ、ここから逃げようと思わないの？』

元木「…ねえよ、俺は別に。不満だってないし。そういう檜山は？」

『…俺は逃げられないからね、一回失敗してるの。仲間逃がして…罰受けた』

檜山はさらわれてきて、俺は…自分から志願してこの場にいる。

家族に愛されていた檜山は…帰りたいと何度も口にした。そのたびに、逃げられない現実に目を伏せていた。

逃げるのを諦めた檜山とこの場に居座る俺は正反対で…だけど、仲は良くて。

年下で生意気なところが弟みたいで、俺もそれなりに可愛がっていた。それは大きくなった今でもそう

俺は親に捨てられ、愛に飢えていた。だから…こんな方法でも、誰かに必要とされたかった

元木「…背中、今も痛い？」

「ううん、もう大丈夫。一生残る傷って言っても痛みはないから」

元木「そっか、困ったら相談しろよ」

「ありがと、湧は頼りがいあるから助かる」

鏡越しに自分の背中の傷に目をやる、それは痛々しくて…小さい体でどれだけきつい罰を受けたのかを物語る

だけど、全てを受け止めたように笑う檜山は、男の俺から見てもイケメンで…初めて会ったときは典型的な子どもって感じの見た目だったのに、成長して本来は高校に通える年齢になってすっかりかっこよくなるからちょっと妬けるな。

…そんな純粋だった檜山に、そういうことを教えたのは俺だ。

年齢にして中学生ぐらいかな、初めてそういう場に檜山が駆り出されることになった。