約束、覚えてますか《Kosei》 (ページ36)

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元木「あれ、Aちゃんもう来たんだ。早かったね」

「わ、く…さん？」

元木「ああこれ？気にしなくて良いよ、もう終わったし」

信じられないその光景に戸惑う私をよそに、湧さんは平然としながら床に落ちていたシャツを拾い上げて腕を通す。

その一連の流れにどうしても、慣れを感じてしまう。

ボタンを全て留め終えた湧さんは、ベッドに転がる女性を放って私に近付いてくると、着いてきて。と言葉にして部屋を出る

ちらりと見えた女性は眠りに落ちていて、聞かなくてもそういうことなんだとわかる

「あの、湧さん！今の…」

元木「ん？あ、誤解しないでよ。ちゃんと同意の上だから」

「同意…？」

どうぞ、と新たに部屋に入ると、そこはさっきの部屋とは違ってちゃんとした部屋で。

椅子と机だけあって、本当に同じ場所なのかと疑いたくなるほど。

椅子に座った湧さんに疑問をぶつければ、慌てる様子もなく答えてくれる…そして驚きの言葉を口にした

元木「俺は女を満足させる、女は俺に金を払う。それで成り立ってんの、そういう商売なの」

「え…」

さらりと言ってしまう湧さんに唖然とする

やっぱりあの部屋で見たものは間違いなんかじゃなくて…それに契約の上で成り立ってるものだなんて…私には縁のないもの。

信じられないような世界に、私は足を踏み入れてしまったのかもしれない