約束、覚えてますか《Kosei》 (ページ32)

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…手を伸ばしては引っ込めて。

それを何度か繰り返すから、周りから見れば変質者でしかないだろう。

私がいるのは、光成の家の前で…今日こそは話そうと思ってやって来たけど、勇気が出ない

だって前回、進歩はあったけどあからさまに光成は私から逃げたんだ。

『…何やってんの』

「わぁっ！ビックリしたっ！！」

後ろから声が聞こえて振り返れば、そこには光成が立っていた。

光成と話そうと思って来たけど、実際に顔を合わせてしまうとちょっと気まずくて…

どうしようかとオドオドしていると、光成がため息を吐いて玄関の扉を開け、ぶっきらぼうに“…入れば”と呟く。

驚いて動きを止める私に、“入らねえなら良い”と扉を閉めようとするから慌てて扉を掴んだ

『…で、お前どこまで聞いたの』

「え？どこまでって…」

『さっき久しぶりに陸人に会って、あの頃の話…お前に話したって言ってた』

「あ、そうなんだ…」

『余計なことすんなって言ったのに』

「そんなの無理だよ、だって光成…私にずっと冷たい。何かあるなら私がそれを取り除きたいの！」

いつか光成が帰ってくると信じて待っていたのに、いざ帰ってきたら別人のように変わっていて。

それを時間の流れだから…って言われて納得しろって言う方が無理な話だ

つらい何かを抱えてるなら話してほしいし、理由もわからずに避けられるのはそれなりに傷つく。

…私はあの頃から変わらずに、光成が好きだから。