約束、覚えてますか《Kosei》 (ページ29)

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それからは思い出したくもないぐらいだった。

見知らぬ男に恐怖心を抱いて、とにかく怒らせないようにしていた。

反抗したら罰が与えられる。そう学んだのは檜山くんからだった。

泣き叫ぶ子どもは怒鳴られて、黙っていた檜山くんはその男に気に入られていた記憶がある

…お気に入りと言えば聞こえは良いが、簡単に言えば金稼ぎにちょうど良かったんだろう。

青木「やだぁ、ママとパパは…？」

豊田「帰りたいよ…」

檜山「…大丈夫？」

不安で仕方なかった時、声をかけてくれたのが檜山くんだった。

その体は小さいのに、全てを背負ってるような逞しさで…にこやかに笑っていた。

泣きたいはずなのに笑顔で、それに酷く安心した。

青木「いつになったら、帰れる…？」

檜山「わかんない…でも、俺が皆のこと助けてあげるから！」

豊田「そんなこと出来るの？」

檜山「出来る！」

まるでヒーローみたいだった檜山くんとはそれをきっかけに仲良くなって、特に青木くんと檜山くんは凄く仲良くなっていた。

そんなある日、檜山くんが俺達に脱走計画を持ち出してきた

今思えば、幼いながらに必死だったんだと思うよ。どうにかして逃げなきゃ、って。

不幸中の幸いか、俺と青木くんは騒ぐタイプでも檜山くんみたいに気に入られるタイプでもなかったから注目はされていなかった

…それを逆手に取った作戦だった。だけど、檜山くんは自分を犠牲にした