約束、覚えてますか《Kosei》 (ページ27)

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「あ、豊田くん…」

豊田「ん？どうしたの？…って、俺に話しかけてくるなんて1つしかないか」

檜山くんのことでしょ？と微笑む豊田くんは、誰でも包み込むような優しさが透けて見える

図書室にいた豊田くんは、全てを理解したような温かな眼差しを向けてきて、読んでいた本をパタリと閉じて立ち上がる。

ついてきて、と言いたげに私を見て図書室を出る彼を追いかけて辿り着いた先は校舎裏の花壇。

人が寄り付かないこの場所が豊田くんのお気に入りらしい

「…ごめん、急に声かけて」

豊田「ううん、謝られるほどのことじゃないよ」

豊田くんが首を振った時、学校特有の独特な機械音が授業の始まりを告げる。

それはつまり、私達が授業をサボっていることを意味する。私は良いけど、流石に豊田くんを巻き込むのは申し訳なくて、深田に“豊田くんと一緒にいるから良い感じに言い訳しといて”とメッセージを送った

それと同時に既読がつき、了解！とだけ送られてきたのを確認し、画面を閉じた

「…覚悟出来たから、光成のこと教えてほしい」

豊田「後悔しない？」

「絶対しないから、豊田くんが知ってること…教えて」

豊田「わかった、その代わり…絶対に檜山くんのこと受け止めるって約束してくれる？」

「約束する。光成の抱えてるもの全部、分け合いたいの」