約束、覚えてますか《Kosei》 (ページ20)

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「さらわれた…って、そんな」

青木「しかも最低なことにそいつは、檜山くんを定期的に売りに出してた」

「売りに出す…？」

青木「さらった犯人は…檜山くんを使って金儲けしてたの」

…何それ、そんなドラマみたいな話を信じろと言われても素直に頷けない。

売りに出すなんて、どういうこと？

私は信じられない事実にただただ呆然とするだけだった

光成を物みたいに扱われて、納得しろと言われる方が無理だ。私の心の中に、ふつふつと怒りが生まれてくる。

そして、自分の無力さに制服のスカートをぎゅっと握りしめれば、隣に座った湧さんが、その手をほどいた

元木「…もうこの辺にしよ、耐えられねえってこの子」

青木「そう…だね、普通に生きてきたんだもん。無理して全部知る必要ないよ」

深田「ごめんA、俺も焦っちゃって…ゆっくり調べてこ。ね？」

光成が、空白の時間をどうやって過ごしてきたのかなんて私にはまだわからない。

だけどきっと…幸せではなくて、私じゃわからない苦労だってしてきたはずだ。

そう考えると彼が帰ってきてすぐに今まで通りに話しかけた私はきっと…無神経だった。

何も出来ない自分に苛立ちを覚え、涙が止まらない私の背中を擦るのは深田だ。

優しい言葉をかけてくれる深田に自分の弱さを痛感するしかなかった