セピアに染まる【番外編】 (ページ21)

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俺とAちゃんは他愛ない会話をした。最近どうしてた？とかそんな話。なんで切ったとかは聞かなかった。そんな話して気まずくなるぐらいだったらなんて事ない話をして楽しんだ方がマシだ。

そしてしばらくして気づいたら俺たちはキスをしていた。確か流れでそうなった。まあ男女が家にいたらそうなる。

最初は普通のキスだったけど途中からは深いキスに変わった。そうなったらもう後は、うん。やった。大人ってそういうもんやし。

してる最中、Aちゃんの感じてる顔も喘ぎ声も全部愛おしく思えた。

今までもAちゃんとしたことはあったけどその時は今ほど気持ちは昂ぶってなかった。

もうこれは正真正銘の浮気だ。体の浮気じゃなくて心の浮気。

完全にAちゃんに気持ちがいってしまった。Aちゃんが通ってた頃はこんな気持ちになることなんてそんな無かったのに。いなくなった後に気づいたとかそういう感情に近い気する。

Aちゃんが両腕を伸ばしてくれたので俺はAちゃんを抱きしめた。そして2人で抱きしめ合いながら果てた。

事が終わり少し休んでいるとAちゃんがじっと俺の顔を見てきた。

「にーやんってさー、よく見たらベビー顔じゃない？」
「えっ？」

なんや急に。ムードもへったくれもないな。俺は拍子抜けな声が出た。

ジャイアントベイビーとか言いながら俺の頬をつねってきた。

「え、にーやん顔に肉全然ないね！」
「Aちゃんも無いやろ」
「私やばいんだよ。前の仕事辞めてから太っちゃって」
「ほんまや」

俺は意地悪でAちゃんのお腹をつねってみた。

「ねえ！」

Aちゃんは笑いながら俺のお腹をつねり返してきた。無邪気に笑うAちゃんがかわいくていじわるしたくなる。

「あーシャワー浴びるのめんどいなー」

Aちゃんは煙草を取り出しながら嘆いた。俺も吸いたいな。

「俺も吸ってええ？」
「いいよ」

俺の煙草はリビングに置きっぱなのでAちゃんから煙草を一本貰った。

さっきから思っていたけど彼女とAちゃんは真逆の人間だ。改めて思った。

付き合うなら絶対彼女の方がええんやろうけど、俺はそれでもAちゃんに惹かれていた。

彼女にどんな面下げて会えばええんや。もう本気で終わりにせんと。罪悪感や焦りが襲ってきた俺は考えすぎていたのか、ぼーっとしてしまっていたらしくAちゃんに心配されてしまった。