もしもの世界 ページ19
ここからifです。2人がもし再開したらの話です。
俺は煙草を揉み消した後、寝室ではなく玄関に向かっていた。半分無意識で半分自分の意思。
寝てる彼女を起こさないようにそっとドアを開ける。もし何で外に出て行ったの？とか聞かれたら適当にごまかそう。
酒が入って正常な判断ができなくなっていたのか、俺はさっきのコンビニに向かっていた。
店内に入り、さり気なくAちゃんを探すとAちゃんはレジで作業をしていた。
…なんかストーカーみたいでキモいな俺。
我に返ったが、行動派の俺はレジに行き客の体として煙草の番号を伝えた。
「すいません。55番ください」
「はーい…」
Aちゃんが顔を上げた瞬間、驚いた顔をした。目がまん丸になっている。
「え？にーやん…？」
「久しぶり」
「あ、久しぶり…」
Aちゃんは若干気まずそうにしていた。なんか人見知りの人みたいになってる。いつもの感じで挨拶してくれると思ってたからちょっと寂しくなった。
「ごめんな仕事中に。ビックリした？」
警戒心を解かせるわけじゃないけど俺は笑顔で話しかけた。
「うん。マジでビックリしたよー」
「Aちゃんの働いてる姿新鮮なんやけど」
笑顔の効果もあってかAちゃんの表情は段々と柔らかくなっていった。
「だろうねー。てかにーやん80番じゃなくていいの？」
「あ、覚えててくれたん？」
「だって55番私の銘柄だもん。わざとでしょー」
ああ何かこのノリAちゃんやわ。Aちゃんの話し方とか声のトーンって落ち着くんよなー。
俺は久しぶりにAちゃんと話して気分が上がった。
「てか実はねさっきにーやんがここに来たの見たんだ」
「…ほんまに？」
あ、そうなんや。Aちゃんも俺を見かけたのか。俺に気づいてないと思ってた。…ってことは彼女のことも見たよな？
でもAちゃんは彼女のことは一切聞いてこない。あえて触れないようにしているのか、興味ないのか。まあ俺も特に聞かれないし話さなかった。
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作者名：あんこ | 作成日時：2023年3月9日 1時
