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リビングに戻ると彼女の機嫌が少し悪くなっていた。だよなー。
「お客さん？」
「そう。ごめんな」
「今日休みなんでしょ？無視できないの？」
「そうしたいけどそう簡単にはいかんねん」
むすっとした表情をしている彼女を宥める。彼女の言うこともわかる。分かるけど居留守したらしたで後々面倒になってくんねん。
「…士彦ホスト続けるの？」
「え、まあ今んとこは」
「そうなんだ」
またこの話か。ホスト続けて欲しくない問題だ。
彼女は怪訝な顔で俺を見ている。
ホストでもいい？って聞いて、うんって言って付き合ったのはそっちやろと思ってしまう俺は性格が悪いかもしれない。
もしかして付き合って少し経ったら辞めてくれると思っていたのだろうか。それか思ったより俺が今みたいに客と電話で抜けたりするから嫌になったのだろうか。
「私、デート中に士彦が他の女の人と話したりするのやだよ」
「それは本当ごめんて。でもお前も仕事で男と話したりするやろ？それと同じやて。俺のも言うたらビジネスやから」
「うん…」
「それに本当に好きなのはお前だけだから」
彼女は俺の言葉を聞いて少し表情が戻った。
ホスト辞めないの？と問いかけられる度に濁しながら愛を伝える。
これ何回繰り返してるんやろう。毎回これでこの話が終わる。そして解決になってないことを俺も彼女も気づいてる。
彼女は聞き分けのいい彼女を演じてくれている。それに俺は甘えている。
このままだと駄目だ。
彼女には未来がある。結婚もしたいだろうし子供も欲しいだろう。俺は今のところその願望がない。
彼女の貴重な時間を無駄にしない為にも離れなきゃいけない。最近はそればっかり考えるようになってきた。
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作者名：あんこ | 作成日時：2023年3月9日 1時
