. ページ15
改札を出ると彼女が待っていてくれたらしく、俺を見つけた瞬間手を振ってくれた。
「お待たせ」
「待ったよー」
彼女は早速俺の腕に手を回し、ぴたっとくっ付いた。
「…士彦香水つけてる？」
「え？うん」
「そう」
彼女は可もなく不可もないと言った反応だった。
彼女は香水が苦手。香水つけないでとはっきりは言われてないけど多分つけて欲しくないんだろう。
付き合いたての頃に、遠回しに苦手だと言われたことがあったけど最近は妙に敏感な気がする。
俺煙草吸うしお客さんと会うこともあるし一応エチケットなんやけどな。
俺が香水のことでモヤっとしていると彼女が話題を変えた。
「お昼食べた？」
「まだやわ」
「そしたらランチ食べ行こ！家の近くに美味しそうなイタリアンがあったからそこ行きたいんだ」
俺は彼女に連れられ、夫婦が経営してるような可愛らしい見た目のお店に入った。
＊＊＊
昼食を食べ終えた後、彼女の家に向かった。築浅の綺麗な物件でめっちゃええやんなんて会話しながら部屋で過ごした。
「今日泊まってく？」
「そうするわ」
「士彦の下着とか歯ブラシは前の家から持ってきてあるから急遽買うとかは大丈夫だよ」
「おーありがと」
彼女が下着のしまってある場所を伝えてくれてる時に俺のスマホが鳴った。
「あ、電話してくる」
電話はお客さんからだった。
俺はリビングから出た後に通話ボタンを押した。
「もしもし。今？先輩の家おる」
「そう。やから今からは会えへんよ。ごめんな」
「明日一緒店行こ。そう。同伴。ええやん」
お客さんとの電話が一通り終わったので切った。めんどいお客さんやなくて良かった。いいから来いとか言われたらたまったもんやないし。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 106人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんこ | 作成日時：2023年3月9日 1時
