19.哀愁漂う感じ ページ39
にーやんの送別会も無事に終わり、後はお別れだけになった。
最後の引っ越し作業を手伝いしににーやんの家に向かう途中なんだか寂しくなった。
もうこの電車も乗らないのかとかあそこの店行っとけばよかったとか色々考えてしまう。何よりにーやんに会えなくなるのがちょっと辛い。
にーやんの家に着くと大きい家具はもうほぼ無くてスッキリしていた。
「ほとんど片付いてるね」
「せやろ？」
後は小さいものたちをダンボールに詰めていくだけらしい。
「仕上げ、これ入れるだけ？」
「そう。頼んでええ？」
「うん」
私はせっせっと物をダンボールに入れていく。
この家引きはらっちゃうのかあ。と考えながら部屋一面を見渡していると後ろから声をかけられた。
「どうしたん？」
「いや寂しいなぁって思って」
「そうやな。俺もなんだかんだ4年ぐらい住んだからなー」
家もだけどにーやんと会えなくなるのも寂しいよと言おうとしたけどやめておいた。なんか重いし。私はそんな気持ちを悟られないように淡々と作業を進めていった。
＊＊＊
作業が終わり、自分の置いておいた荷物をまとめて帰宅しようと玄関で挨拶する。
「じゃあね」
いつもならじゃあまたねだったけど。
…ああ、余計なこと考えてしまった。ドアノブに手を掛けるとにーやんに名前を呼ばれた。
「A」
「何？」
「じゃあな」
にーやんの顔はどこか寂しそうな顔で、でも少し笑ってる。そんな表情をしていた。
「そんな切ない顔しないでよー。こっちが切なくなっちゃうじゃん」
「ごめんごめん」
「にーやん」
「ん？」
「最後にハグして」
最後にわがまま聞いてもらおう。もう面倒くさいと思われてもいい。これで会わなくなるし。私はにーやんにダメ元でお願いした。
「いいよ」
にーやんが両腕を広げてくれたので私は飛び込むように抱きついた。にーやんはそれに応えるように腕を腰に回してくれた。
「にーやん〜」
私は顔を離しにーやんを見つめる。にーやんも私の顔を見つめ返してくれた。そしてお互い口づけをして本当にさよならした。
人と離れるってこんなに辛いんだと心の底から思った。こうして私とにーやんとの不思議な関係の縁は切れた。
続く (更新停止中)
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あんこ(プロフ) - あずさん» あずさん！コメントありがとうございます！（ ; ; ）感想とても嬉しいです✨私もあずさんの見抜いて、心ドキドキしながら何回も読んでます✨更新頑張ります！😳 (2月10日 1時) (
レス) id: 262806c1af (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - 夜分遅くに失礼します…！めくるめく日々の更新、楽しみに待ってました。石井さんの登場に心踊ってます。あんこ様のお話の構成、自然な会話が大好きです。どんな結末を迎えるのか一読者としてワクワクしつつ、また最初から読み返そうと思います。更新頑張ってください！ (2月10日 1時) (レス) @page36 id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんこ | 作成日時：2023年6月9日 1時
