□今世十周年記念日【番外】 ページ49
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城の中には沢山の人が煌びやかな服を纏って思い思いの時間を過ごしている。
今日は私が10歳になった記念としてお祝いのパーティが開かれていた。今年だけじゃない、9歳の時もその前も同じように沢山の人がお祝いしに来てくれた。
『(歳を取るのは、そんなに嬉しい事なのかしら)』
あちこちから聞こえる「めでたい」の声に私は首を傾げた。人は生まれたら死ぬまで歳を取るのに一々祝うなんて不思議ね。
「A王女様。この度は御誕生日真におめでとうございます」
『ありがとう、とっても嬉しいわ』
異国の皇太子からお祝いの言葉を貰う。先程からひっきりなしに来る客人は皆一様に祝いの言葉と品を贈ってくれた。
今日だけはお父様の王座の横に並んで祝福を受ける。よくわからないが、おめでとうって言ってもらうのは嬉しい……気がする。
『ねぇ、お父様』
「どうしたんだ、A」
『男の方ばっかりね』
「それは……まぁ、そうだな？」
極当たり前の様に言うお父様は、私に向けた目を再び大広間へと向け直してしまった。
どうしてこの世には女の人が少ないのかな、２つしか選択肢がないのなら半分ずつになるのが普通なんじゃないかしら。
「どうした、主役さんよ。難しい顔して」
『お兄様！私、そんな顔してたの？』
「してたしてた」と薄く笑う一番上のお兄様は持っていたお酒を傾けてお父様の杯へと注ぐ。酒瓶と反対の手には小さな箱をお持ちだった。
「ほら、A。お前にノーダル王国の王子からプレゼントだとよ」
『まぁ、なんでしょう？』
「開けてみればいいんじゃないか」
パカっと音を立てて趣向の凝らした箱が開く。
＿＿出てきたのはキラキラした石の嵌められた指輪。
『指輪…？初めて頂きました』
「あのな、指輪ってんのは普通結婚したい相手に渡すもんなんだよ」
『これを下さった方は私と結婚がしたいのですか？』
眉を顰めて頷いた兄の姿にますます疑問が湧く。
私はノーダルの王子と会った事がない。どうして知らない人と結婚したいと思うのだろう。
「気が無ければ返してしまえばいい」
『私は、知らない方と結婚したくはありません』
あっさりと告げた父に私は首を振って応えた。
結婚の意思がないと知るとお兄様は、私の手の中から箱を引き取った。
「そういやさっきから何手に持ってんの？」
『かんざし、と言うそうです』
東国の方から頂いた装飾品が気に入って握りしめていた私に、お兄様は今度こそ声を上げて笑った。
ラッキーゲーム
hoi
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山西 陽朔 - 考えさせられる小説ですね!次回作は南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏するということを作品にするのはいかがでしょうか? (2023年4月30日 18時) (
レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - ユッケさん» コメントありがとうございます。好きだと言って頂ける事が何より励みになります。続編でも気長にお付き合いくださいませ！ (2019年8月24日 17時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 未人さん» ありがとうございます！続編も気長にお付き合いくださいませ。 (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 黒コマ先生さん» コメントありがとうございます！続編もぼちぼち張り切って参りますので宜しくお願い致します！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 紅葉さん» コメントありがとうございます！初期からのご愛読恐悦です。続編でもよろしくお願いいたします！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あん肝ポン酢丸 | 作成日時：2019年8月4日 8時
