▼新たな予感 ページ45
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久々に城を彩る中庭へと足を運び、肺いっぱいに清らかな空気を吸い込んだ。
なんとなしに心が穏やかになる。
やっぱ俺は争いごとには不向きなんかも知れんなあ。
「気づかへんかった！？んなあほな……！」
『だって、普通鍵のかかった部屋に侵入できるご令嬢が居るなんて思わないじゃないですか！』
おお、ビックリした…なんやねんなもう。
驚いて声が聞こえた方に視線をやると、2人の男女が言い争ってる(？)ようだった。城内かつ男の方が此方に背を向けた形になっており女の方の姿はよく見えない。
「何してるんだ、グルッペンのやつ…？」
俺にその背中を見せているのは、同士にしてこの国の総統に君臨するグルッペン・フューラーであった。
面白そうだから気配を消して観察を始める。偵察を主とする俺の気配を探るのは奴でも至難の業だろう。
「わかってんのか、死んでも可笑しなかったんやぞ」
『それは……』
言葉に詰まる女にグルッペンは更に畳み掛けた。
「疑わないのも、罪人を許す心も美徳と呼ばれるものかもしれへんが限度がある。俺は」
何かを言いかけてあいつの言葉は途切れた。女の方が何も言わないあたり、泣かせたか怒らせたか。
侵入だの死ぬだのと物騒な言葉の飛ぶような内容のようだが一体何について話しているのやら。
「わあ大胆……」
「俺は、今回の件を聞いてお前に信頼されてないんやと思った」
グルッペンの身体がゆっくりと前のめりになったのがわかる、察するに女でも抱き寄せたのだろう。
思わず口から感嘆が漏れたが幸いにもアイツは俺に気づいていないようだ。
総統閣下たる者が随分女々しい事で、自分の知っている姿と違う一面にワクワクした。
『ただの人質から信頼を得る必要があるのですか？』
「自分がただの人質だと思っているのか」
『先程ご自身で仰ったじゃないですか』
泣きの入ったような女の声は愛らしい少女を連想させどこか懐かしい。人質というと《櫻鏡園》が頭をよぎるが、まさか人質の令嬢なのだろうか。
「(ますます面白そうやん)」
「そりゃ…けどお前を“ただの”人質やとは思ってない」
『っ私は、これからどうなるのです。国へ帰されるのですか？』
中々に肝の座った女やな。声の高さから考えるにまだまだ若い娘だ。
総統様が何を言うのかと楽しみに見ていると、不意に女のものであろう一房の青い髪が視界に映った。
「悪い……お前を帰してやるつもりはない」
あ、あいつ今キスしよったな。
ラッキーゲーム
hoi
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山西 陽朔 - 考えさせられる小説ですね!次回作は南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏するということを作品にするのはいかがでしょうか? (2023年4月30日 18時) (
レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - ユッケさん» コメントありがとうございます。好きだと言って頂ける事が何より励みになります。続編でも気長にお付き合いくださいませ！ (2019年8月24日 17時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 未人さん» ありがとうございます！続編も気長にお付き合いくださいませ。 (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 黒コマ先生さん» コメントありがとうございます！続編もぼちぼち張り切って参りますので宜しくお願い致します！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 紅葉さん» コメントありがとうございます！初期からのご愛読恐悦です。続編でもよろしくお願いいたします！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あん肝ポン酢丸 | 作成日時：2019年8月4日 8時
