▽異様な空間 ページ41
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「そんな事！！根も葉もない濡れ衣ですわ！！！」
屋敷の前まで着くと劈く様な声が耳を貫いた。
私を送ってくれた彼は、露骨に嫌な顔をしてみせる。
『い、今の声は…』
「すぐ、分かるよ。さぁ入ろう」
私が園に戻る事を渋ってた割に、目の前の軍人はあっさりと重たい二つ扉を開けた。
放たれた扉に先程までの声はピタリと止んだ。
＿＿私の視線の先には数人のご令嬢と、幹部の皆様。
「思ったよりも早かったな」
そして、嫌になるほど威厳ある姿の総統閣下がそこにいた。
「ごめん。足止めは無理だった」
『あの、これは一体…？』
どうにか心に落ち着きを取り戻した私は、状況整理を始める。
華やかな衣に包まれた令嬢方は、スティナータといつもの3人組。幹部の方も全員で無いが半分くらいが並び立っていた。
「櫻鏡園の中で窃盗があってな？」
『窃盗？』
「そうやで、被害者さん」
顰めた顔のトントン様から出た言葉に続く、ゾム様の発言にフリーズする。
「そうですよねぇ？ご令嬢方」
皮肉げに話すチーノ様につい令嬢達の方に顔を向けた、魔女裁判のような雰囲気にブワッと鳥肌が立つのがわかる。
『っ……』
青褪めた3人に対して、スティナータだけは苛烈な炎を灯した瞳で私を睨みつけた。
好かれてたなんて思っても無いが、初めて向けられた敵意剥き出しの視線に身が竦んだ。
「何の証拠も無しに罪人扱いなんて……！！」
「まだその言い逃れ続けるつもりなん？」
激しく怒りを表明する彼女に、見た事もない冷たい瞳をしたオスマン様。その後ろでゾム様とロボロ様、鬱様が静かにご令嬢方を見据えていた。
私が被害者とはなんだ、考えも纏まらぬうちに美しい令嬢はヒステリックに叫んだ。
「Aご令嬢、まさか貴女の差し金なの？！」
『ち、違……私は』
「大概にせえよ」
建物内に地を這う様な声が響く。
一拍空けて漸くこれが鬱様の声であるとわかった。
「鬱様、なんで……」
「アンタが着けてたアレ、Aちゃんのリボンやろ」
「オレもその女がAの部屋入って本とか持ってったのこの目で見たで」
スティナータの嘆きを無視して、青い彼と黄緑の彼は令嬢方からそれぞれの別の女性を指差して言う。
指名された2人の令嬢は青を超え死人の様に白い顔をしていた。
「あ、あ、本は！その、じ、自分で買って…！」
「あのなぁ、此処の購入履歴は全部コッチに来てるんやで？」
絞り出した声での訴えは、チーノ様に一蹴されていた。
ラッキーゲーム
hoi
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山西 陽朔 - 考えさせられる小説ですね!次回作は南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏するということを作品にするのはいかがでしょうか? (2023年4月30日 18時) (
レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - ユッケさん» コメントありがとうございます。好きだと言って頂ける事が何より励みになります。続編でも気長にお付き合いくださいませ！ (2019年8月24日 17時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 未人さん» ありがとうございます！続編も気長にお付き合いくださいませ。 (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 黒コマ先生さん» コメントありがとうございます！続編もぼちぼち張り切って参りますので宜しくお願い致します！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 紅葉さん» コメントありがとうございます！初期からのご愛読恐悦です。続編でもよろしくお願いいたします！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あん肝ポン酢丸 | 作成日時：2019年8月4日 8時
