▽嵐の前の何とか ページ40
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どうして切り傷１つをこんなにも大袈裟に扱われたのだろうか。
「怪我が薄くなるまでは城の医務室に通うように」
単調にそう命じられた自分がなんと応えたのかよく覚えていない。ただ、私がここ数日言付け通りしんぺい神様の居る医務室へ通っていることは確かだ。
『失礼いたします』
「あ、A王女いらっしゃーい」
薬品の香りが鼻腔をくすぐる。
白縹色の軍医は軽く手を振って迎え入れてくれた。
大柄な体格に雑面、無精髭という出で立ちに初対面時はおっかなびっくりだった。
だが外見に反し彼は幹部の中でも1位2位を争う程穏やかな性格をしている、これは最近知った事だ。
「はい、じゃあ薬塗るね」
『ありがとうございます』
座る彼の前に私も向かい合うように腰掛け、袖をまくった右腕を差し出す。
最初こそ自分で塗れると強く遠慮していのだが「一応お医者さんだからね、俺にやらせて」と、優しい気遣いをしてくれるしんぺい神様に甘えさせてもらう形となった。
「傷が残ったら大変だから」
『そんな、このくらい…』
「女の子なんだから身体は大切にしなきゃ」
丁寧に薬を塗って包帯を巻いてくれる彼は微笑んでそう言った。
正直この世界であれば女は貴重だし、立場もあるし傷１つ行き遅れになる事はないと思うが。別に結婚したい訳じゃないけど。
結婚という大仰な単語にちょっと頭痛がした。
「どうしたの？難しい顔して、包帯きつい？」
『い、いえ…その、今日は随分静かだなって』
「うん……今日は、ほとんど皆出てるから」
下らない考えを見破られたくなくて、適当な話題振りをすると彼は少し困ったような顔をした。
いつも此処に来るまで幹部の方を誰かしら見かけるが、今日は1人も見ていなかった。
『そうなのですか、では私も失礼いたしますね』
「はい、また明日ね。頑張って」
『？はい』
今日はお勤めの無い日なのだけど何を頑張ればいいだろう？
ゆっくりと扉を開き部屋から出る。すると出てすぐの廊下にバッテンのマスクをつけた男性がいた、ひとらんらん様だ。
『ご機嫌ようございます』
「うん」
私の挨拶に頷く彼はそのまま目の前で止まってしまったようだった。退いて頂かないと通れないのだけど。
「園に戻るの？」
『はい』
「どうしても？」
『えっと……』
意図の読めぬ質問に思わず首を傾げる。
彼は何かを言いたげに口を開いたが、すぐにその口を閉じ小さく首を横に振った。
「何でもない。暇だから園まで送るよ」
ラッキーゲーム
hoi
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山西 陽朔 - 考えさせられる小説ですね!次回作は南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏するということを作品にするのはいかがでしょうか? (2023年4月30日 18時) (
レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - ユッケさん» コメントありがとうございます。好きだと言って頂ける事が何より励みになります。続編でも気長にお付き合いくださいませ！ (2019年8月24日 17時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 未人さん» ありがとうございます！続編も気長にお付き合いくださいませ。 (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 黒コマ先生さん» コメントありがとうございます！続編もぼちぼち張り切って参りますので宜しくお願い致します！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 紅葉さん» コメントありがとうございます！初期からのご愛読恐悦です。続編でもよろしくお願いいたします！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あん肝ポン酢丸 | 作成日時：2019年8月4日 8時
