▽終わりの合図と ページ34
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正直に言おう、気絶するかと思った。チーノ様が視線を送った先に付随して目を遣ると、そこに居たのはゾンビ映画並みに血の付着した青年。
何を思ったのか二人きりで残された時には、ギラギラとした菫の瞳に恐怖で膝が笑いそうになった。
やや間があって普通に話し始めた紫色の彼。話し方こそ単調であるが、戦時帰りで気が立っているのか目のギラつきが凄い。
熊と会った時背を向けて逃げてはいけない様に、興奮している人に決して大きなリアクションをとってはいけない。私は徹底して笑顔を絶やさず緩やかに微笑んでみせた。
「……アンタの髪、青いな」
『え？えぇ、まぁ…』
「青すぎて目が痛い」
『えっ！？』
思わずお嬢様らしからぬ声が出てしまった。性格や素性に疑いをかけられた経歴はあるが、色素にクレームを付けられたのは初めてである。
目が痛いと言う割に彼は頻りに私の髪の毛を見つめていた。
「あぁショッピ君！待たせたわ。お疲れ様」
「エミさん、どうも無事終わりましたよ」
背後からひょこっと顔をだした彼は紫君を労うと、その手に握られていた書簡のような物を受け取った。
今更で申し訳ないが、この遣り取りの場に私がいるのはマズいんじゃなかろうか。
「その格好で長い事おるんは良くないわ、着替えてき」
「はーい」
まるで母親と息子ようだ、絵面の凄惨さは置いとくとして。
エーミール様の言葉に素直に頷いた青年はクルリと向きを変える来た道を戻っていった。
「すみませんバタバタしてしまって…その、大丈夫ですか？」
『はい。少し驚きはしましたが…』
恐らく…ショッピと言っただろうか、彼の血塗れな姿を見た事を言及しているのだろう。気遣わしげに目線を合わせてくれる彼に、大丈夫だと伝えようと思い顔を上げる。
思ったより距離が近かったようであと少しで鼻先が触れ合う程お互いの顔が接近した。
「〜〜っ！？や、すみませっ……！！」
『！…いえ、失礼いたしました』
近くで見た彼の顔はお人形の様に綺麗な造形で。頬にたっぷり朱を乗せたエーミール様は、目にも留まらぬ速さで後退した。
「あ、謝るのは私の方です！ご令嬢に失礼な真似を」
「何々？エーミールなにやらかしたん？？」
『チーノ様！』
いつの間に現れたのか。更に焦る紳士に追い討ちをかける悪魔がそこにはいた。
「これは裁判ですわあ」
「なんでや！何もしてへんて！！」
必死に否定する彼が少し気の毒で、同意するように控えめに首を縦に振った。
ラッキーゲーム
hoi
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山西 陽朔 - 考えさせられる小説ですね!次回作は南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏するということを作品にするのはいかがでしょうか? (2023年4月30日 18時) (
レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - ユッケさん» コメントありがとうございます。好きだと言って頂ける事が何より励みになります。続編でも気長にお付き合いくださいませ！ (2019年8月24日 17時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 未人さん» ありがとうございます！続編も気長にお付き合いくださいませ。 (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 黒コマ先生さん» コメントありがとうございます！続編もぼちぼち張り切って参りますので宜しくお願い致します！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 紅葉さん» コメントありがとうございます！初期からのご愛読恐悦です。続編でもよろしくお願いいたします！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あん肝ポン酢丸 | 作成日時：2019年8月4日 8時
