▼いつかのあの子 ページ12
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初めて会ったのは、彼女を国へ迎える日であった。
隣国であるヴェネマーレア王国。その領土の7割が海に面しており、我々国の国防にも他国侵略にも非常に有益な土地である。
そこに目をつけたグルッペンは、早速戦争を仕掛けようと王国への外交を求めた。
そこで駆り出されたのは外交官の俺。
しかし、いざ幕が上がればそこにあったのは微々たる軍擬きと温い機能の内閣崩れ。
口撃するまでもないめう。冷ややかな気持ちで相手国の外交官である第3王子と会談を幾度と行った。
ただ相手も馬鹿じゃない、幾度と会話を重ねても彼らに戦争の意思は一欠片も見られなかった。当たり前だ、開戦した所で結果は見え透けている。
そこで持ち掛けられたのが第2王女の親和入国と、多少うちが有利な貿易の提案。
男ばかりの世の中で王族の娘となれば、その価値は計り知れない。事実他国との交渉でも貴族や王族の令嬢が引き渡されることが何度もあった。
人質になる稀少な駒。母国に売られた憐れな娘。
「初めてまして、我々国より迎えに参りましたオスマンと申します」
『お初にお目にかかります。A・クイント・マーレアですわ』
品良く挨拶をする若き王女は、頭をあげると臆する事もなく真っ直ぐに俺を見た。
アメジストを嵌めたような瞳に感情は無く、この世など映していないかのように只々そこにあるばかり。
空っぽみたいな顔をした少女が何を考えているのか俺には全く理解が及ばなかった。
『私は貴国と母国の親和の為に参りました、ここで母国について語る事は我が国王への裏切りと存じます』
凛とした声で告げる少女に昔の面影はない、まるで中身が別人になったようだと思った。
令嬢の暗号通信の事があってから、櫻鏡園を行き交う手紙の全ては俺が確認している。
彼女が本の商人に宛てた手紙を見た時は、目を疑った。
あの少女が何故急に歴史書を読もうと思ったのか皆目見当もつかず、この一件をグルちゃんに相談すると、城に連れてくるようにと提案された。
久々の花の園。他の令嬢がトランプ遊戯に耽る隅で1人史学の書を捲るのは、間違うこと無き海の国から来た王女。
とても驚いた様子のA嬢はずっと人間らしく、かつてガラス玉のようだった瞳には生気を感じた。
1年で人はここまで変わるのだろうか。
変化の少ない檻の中で彼女に何があったのか。
どの道、我が総統に目をつけられたら無事じゃ済まないだろう。
「時間はある、ゆっくり暴いてったるよ」
ラッキーゲーム
hoi
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山西 陽朔 - 考えさせられる小説ですね!次回作は南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏するということを作品にするのはいかがでしょうか? (2023年4月30日 18時) (
レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - ユッケさん» コメントありがとうございます。好きだと言って頂ける事が何より励みになります。続編でも気長にお付き合いくださいませ！ (2019年8月24日 17時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 未人さん» ありがとうございます！続編も気長にお付き合いくださいませ。 (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 黒コマ先生さん» コメントありがとうございます！続編もぼちぼち張り切って参りますので宜しくお願い致します！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 紅葉さん» コメントありがとうございます！初期からのご愛読恐悦です。続編でもよろしくお願いいたします！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あん肝ポン酢丸 | 作成日時：2019年8月4日 8時
