▽切っ掛けは ページ1
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昔からどこか違和感があった。
例えば、
古来の品にひどく近視感を覚えたり。
話し言葉と書き言葉が一致しづらかったり。
一般の女性が興味を持たない物に惹かれたり。
しかし差し当たって問題もなく、今日この日まで生きてきた。
「あのー、その、大先生こっち来うへんかったか？」
『なにゆえ関西弁』
そう、17歳の誕生日のその日まで。
私の名前はA・クイント・マーレア。ヴェネマーレア王国の第2王女である。
軍事力が物を言う世の中になり、各地で戦争が勃発するようになった。まともな軍事力を保有しない母国にとって、この状況はお世辞にも良いものと言えなかった。
いよいよ隣国と開戦直前といった所で、母国はある行動に出た。親和の証として王女を1人隣国に送るというものである。
とどのつまり、私は親和の証。飾らずに言えば人質として隣国へと送られることとなったのだ。
16の時に此処へ送られ丸一年、私は今日17歳の誕生日を迎えた。
決断を下した父を決して恨んだりはしない。
私は王族として国家の安寧の為に生を果たすまで。
……果たすまで。そう思っていたのだつい先刻まで。
隣国である我々国へと送られた私は総統閣下らがお住みになる城の敷地の一角に住まわされていた。
通称《櫻鏡園》。美しい薄紅の薔薇が咲き誇るここは一見して楽園の様だが、人質となった女性を軟禁するための施設である。
10人程度が暮らす此処に外部から人が来る事はそうそうない。この穏やかな檻の中で暇を潰すために小さな庭の花を見て回るのが私の日課であった。
今日は珍しく来客がいた、最も私の客ではないが。
「やっほ〜。邪魔するよ〜」
サラサラな群青の髪。質感の良い生地で作られた軍服は所々に皺が見られる。いつも煙草を片手に持つ彼は、鬱様という我々国の幹部の方だ。
大層な女好きらしく、他の幹部が寄りもしない櫻鏡園に唯一訪れる人物だった。お目当ては園の中でリーダー格を持つ近隣国の領主のご令嬢らしい。
まぁ、私は彼と口を利いたことも無ければ興味も然程ない。
小さな花の蕾を眺めながら歩いていると、突如として私の日常は打ち砕かれた。
見慣れぬ男性が園の門をくぐったのだ。
長身で体格がよく、その首元には濃い赤色のマフラーが巻かれている。眼鏡から覗く切れ長な瞳には怒りが滲んでいた。
『(あの方はどなたかしら？)』
ぼんやりと見つめていれば不意にその鋭い視線が私へと向けられた。
ラッキーゲーム
hoi
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山西 陽朔 - 考えさせられる小説ですね!次回作は南無妙法蓮華経と唱えることで万人が成仏するということを作品にするのはいかがでしょうか? (2023年4月30日 18時) (
レス) id: aaea05e353 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - ユッケさん» コメントありがとうございます。好きだと言って頂ける事が何より励みになります。続編でも気長にお付き合いくださいませ！ (2019年8月24日 17時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 未人さん» ありがとうございます！続編も気長にお付き合いくださいませ。 (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 黒コマ先生さん» コメントありがとうございます！続編もぼちぼち張り切って参りますので宜しくお願い致します！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
あん肝ポン酢丸(プロフ) - 紅葉さん» コメントありがとうございます！初期からのご愛読恐悦です。続編でもよろしくお願いいたします！ (2019年8月24日 16時) (レス) id: 6a4a4e6549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あん肝ポン酢丸 | 作成日時：2019年8月4日 8時
