(波多野×夢主)�� ページ5
ふと、路地裏にちょこんと座り込むよく知る男の姿があった。具合でも悪くなったか、と近づいていくと、振り返った波多野の手には魚肉ソーセージがあった。
その奥でにゃーと鳴く声が聞こえる。
「猫だね」
げっと言う顔をする波多野。
「波多野が飼ってるの？」
「勝手について来たんだ」
「でも餌づけしてる」
「足を悪くしてる。目覚め悪いだろ」
「ふうん」
「なんだよ」
波多野は不機嫌そうに目を細める。相変わらず童顔に似合わず訓練生一目つきの悪い男だ。
「いいや、別に」
私が顔がニヤつかせていると、諦めたようにため息をついた。そんな気も知らず、三毛猫は波多野が持っていたソーセージをぱくついていた。
「言われなくても結城さんや他の連中には黙っているよ」
「…何が望みだ」
「なんでそういう話になるのさ」
波多野の中で私はすきあらば同僚の弱みを握るあくどい女だ。たしかにすきあらば弱みは握らせてもらうが。この程度じゃ大した脅しのネタになりはしない。
「かわいい猫だね」
「心がこもってねえ」
失礼な。本当に可愛いって思った。
まあ、普段はあそこに猫がいるなと思うだけで、猫を可愛いなどとと思う気持ちを持ち合わせていないから、そういう普段の態度が出てしまったのかもしれない。
すると波多野が触るか？と言って脇をもって差し出す。
「いや私は遠慮しとく。野良だし」
「さてはお前潔癖症だな。おいおい汚いってよお前。可愛げのない女でちゅねー」
三毛猫は波多野に喉を撫でられながらにゃーと返事をする。
うっさい
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作者名：あんかさんどら | 作成日時：2019年3月30日 11時
