ジョーカー・ゲーム短編・夢 (ページ1)

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(三好×夢主)① ページ1

三好は綺麗な手つきでグラスをとって、にやっと笑う。

賭けをしようか。

会話に飽きるとしばらくしてそう言うのが、お決まりだった。三好は私の目線が店のドアにたどり着くと「三番目」と言った。

「じゃあ、二人組の男」私は答えた。

「女連れの男」

要するに三番目にあのドアを通るのがどんな客が当てという簡単なゲーム。ジョーカー・ゲームと違いなんのタネも仕掛けもないただの賭け。

三好というのは私の同僚だ。

普段からかなり気取ったところがあるが、何かと頼りになる男なので私は彼を慕っている。

私の職場は少し特殊、同期は皆化け物ばかりで、私は多少話にはついていけるほとんど凡庸な女。ボロを出さないように普段から口数が少ないからあまり周りと会話を交わすこともない。そんな中、三好は私によく構った。なぜなら同期のまとめ役だから。仲間として気を回してくれる。

カランと店のカウベルが鳴って男の客がひとり入ってくる。あと一組だ。(ちなみにどっちか外れた場合より近い方が勝ち)

けれど、結局は私といるのが退屈なのだと思う。これは退屈を紛らわす為の彼の軽い遊びみたいなもの。だから賭けの内容はなんて事ないような内容で、賭けるものも珈琲を淹れてくるだとかそんなものばかり。

「最近ネタが尽きてきたかな」

箸を置くとちょっと趣向を変えてみようか、
と言った。

「例えば？」

「うん、そうだな…例えばきみが僕に惚れるか惚れないかとか」

「…」

なにを言いだすのか。

言われなくても分かり切ってることだが惚れた腫れたなどど諜報員にあるまじきことだ。いや、例えばの話だ。こういう冗談にマジレスしてはいけない。逆に怪しいから。

「…いいよ。でも賭けになるかな、そんなの分かりきっていると思うけれど」

「ふうん。なら、僕は惚れるの方に賭けるとするよ」

三好はにこっと笑って人差し指をつつーとドアの方に向ける。胸の大きく開いたドレスを着た若い女性を二人侍らせた会社員が会計を済ませ、ドアを開けて店の外に外に出て行くところだった。