ハーツラビュルでの一件(ジャックside) ページ36
「どうしたのデュース?」
「いや、確かにあれだけの物を運んだら人目に付くだろうし、何より誰も部屋から出る所を見てないなんておかしいなと思ったけど……ラドルなら誰にも見られずに運び出せるよなと……」
「どういうことですか?」
ジェイド先輩の問いに今度はエースが答える
「まず大量の荷物ですけど、俺達配達を手伝った時に小さな箱に圧縮して運んでたんですよ。はちゃめちゃ重かったけど。でもあいつはいつもそれを涼しい顔して運んでたって考えたら、多少量が増えても問題なく運び出せる術を知ってるんじゃないすか?」
「確かにそうですね。」
ジェイド先輩が納得するかのように相槌を打つ
次にデュースが説明しだした
「そして誰にも見られずに部屋を出る。ラドルのユニーク魔法ならそれが可能だ。あいつは体や物を透明にできる。荷物ごと体を透明にしてソッと部屋を出れば誰にも気づかれない筈。ブロットも貯まるだろうがあいつはブロットを気にしないで魔法を使い倒す節があるからきっと今回もそうやって出てったんだと思います。」
「ま、ハーツラビュルでの一件から考えたあくまで想像ですけど。」
そう付け足すとまた黙ってしまった
再び沈黙が流れる
「……つまり、ラドルさんは自分の意思でここから出たということですか。」
アズール先輩の言葉に俺達は押し黙ってしまう
ラドルの意思で……
俺達から逃げ出した
何も言わずに
言葉すら交わしたくないってことか
その事実を飲み込むまでにしばらく時間がかかった
「俺が、俺があの時、手を引いてつれだしていたら、今ごろ……」
昨日踏ん切りをつけたはずの後悔がまた襲ってくる
心の何処かで甘えていた
ラドルならいつもみたいに笑って許してくれるんだと
そうでなくても話せばわかってもらえると
それがまさか言葉をかわすチャンスさえ与えてもらえないなんて露とも考えていなかった
自分の愚かさに拳を血が出るんじゃないかという程に握りしめる
「俺は……親友失格だ……」
元より自分から砕いてしまったその称号に今は喉から手が出るほどに縋る
向こう見ずな発言でラドルを傷つけた俺に最早その肩書を名乗る資格はない
もう、駄目だ
修復なんてはなからできやしなかったんだ
他の面々も同じ気持ちなのか暗く俯き、後悔を呟き続ける中、一人だけまっすぐとした声が聞こえた
「まだ諦めるには早いです。」
声の主はアズール先輩だった
「はぁ……?今更何を……」
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あんかけうどん(プロフ) - タイミーさん» ありがとうございます!ファンアート大歓迎でございます!ぜひぜひ描いてくださいまし! (6月20日 23時) (レス) id: 8768b9e08b (このIDを非表示/違反報告)
タイミー(プロフ) - 後失礼ながら私ラドル君の見た目とても気に入ってしまったので描いても良いですか?ダメでしたらすみません💦 (6月20日 23時) (レス) id: 908dc4d734 (このIDを非表示/違反報告)
タイミー(プロフ) - 最新話まで追いつきました‼︎続きとても気になります‼︎無理せずに頑張って下さい(*´∀`*) (6月20日 23時) (レス) id: 908dc4d734 (このIDを非表示/違反報告)
あんかけうどん(プロフ) - TRIXIEさん» ありがとうございます!これからどんどん転落していくのでかわいそかわいいラドルくんをどうぞよろしくお願いします! (5月28日 15時) (レス) id: 8768b9e08b (このIDを非表示/違反報告)
TRIXIE - 続きが出ている...!有難うございます!貴方様の動かすランドールと夢主が大好きです! (5月28日 14時) (レス) @page15 id: 2c398aa4dc (このIDを非表示/違反報告)
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