誰もいない部屋(ジャックside) ページ35
「あーもうグダグダうるせーっすよ!」
俺の声に皆の肩が上がる
「あんたらが行かないなら俺が行く!引っ込んでてくれ!」
「あぁ待ってくださいまだ心の準備が!」
アズール先輩の制止の声も聞かず俺はドアノブに手をかけた
「ラドル、入るぞ。」
勢いよく扉を開ける
が、飛び込んできた光景に俺は言葉を失った
「……あ?」
そこには人が過ごしていたような痕跡がなく、最初に寮室に来たときのような簡素な家具しか置いていなかった
一人部屋にしてはだだっ広いその空間には椅子、机、ベッド
本当に必要最低限のものしか置いておらず、唯一ラドルが持っていた参考書の本の数々は本棚と共に残されていた
それでも呆気に取られた
カバンや制服、その他私物が根こそぎなくなっていたのだから
「な、おい、コレはどういうことだ!ラドルは部屋にいるはずじゃ……」
「嘘だ!」
アズール先輩が叫ぶ
振り返ると全員ユウとグリムを除いて顔が真っ青だった
「こんな……一体いつの間に……」
「外出している……にしては身辺整理されすぎています。これは……
「俺達ラドルの部屋に来たことあるけど、前はもっと色々おいてあったぞ……?」
「整理整頓してミニマリストになったにしても少なすぎでしょ!」
「ねー、もしかして……」
フロイド先輩が震えた声で呟く
「……俺等に会いたくなくて夜逃げしたんじゃ……」
全員がハッと息を呑む
沈黙が走る中、アズールは何かを察したようにボソリと零す
「なるほど……そんなに僕らが信用ないと……そういうことですか……」
「そういうことって?」
「どういうことなんだゾ?」
ユウ達が聞くとアズール先輩は語りだした
「ラドルさんはお家の仕事を手伝っていて、自分の家の卸す品をここ、賢者の島への配達をしていたんです。その為本来二人部屋の所を倉庫兼用として一人部屋にし、ラドルさんの部屋としていたんです。が、あんな事があってきっとラドルさんは僕等と顔も合わせたくなくなったのでしょう。あのまま商品を置いておけば鍵をしていても僕らが盗むのではと考えて、それならいっそのこと商品ごと何処かへ逃げてしまったと、そういう感じですかね……」
「そんな……!」
ユウが顔を真っ青にして口を抑える
俺も言葉を失った
それなら今ラドルはどこにいるってんだ!?
「おい!ラドルは部屋から出てねーんだろ!?ならどうしてこんな事になってる?荷物を運び出すのなんて人に見られるに決まってるだろ!」
俺が怒鳴りつける様に言うと「あ」とデュースが声を漏らした
ハーツラビュルでの一件(ジャックside)→←扉の前(ジャックside)
72人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんかけうどん(プロフ) - タイミーさん» ありがとうございます!ファンアート大歓迎でございます!ぜひぜひ描いてくださいまし! (6月20日 23時) (レス) id: 8768b9e08b (このIDを非表示/違反報告)
タイミー(プロフ) - 後失礼ながら私ラドル君の見た目とても気に入ってしまったので描いても良いですか?ダメでしたらすみません💦 (6月20日 23時) (レス) id: 908dc4d734 (このIDを非表示/違反報告)
タイミー(プロフ) - 最新話まで追いつきました‼︎続きとても気になります‼︎無理せずに頑張って下さい(*´∀`*) (6月20日 23時) (レス) id: 908dc4d734 (このIDを非表示/違反報告)
あんかけうどん(プロフ) - TRIXIEさん» ありがとうございます!これからどんどん転落していくのでかわいそかわいいラドルくんをどうぞよろしくお願いします! (5月28日 15時) (レス) id: 8768b9e08b (このIDを非表示/違反報告)
TRIXIE - 続きが出ている...!有難うございます!貴方様の動かすランドールと夢主が大好きです! (5月28日 14時) (レス) @page15 id: 2c398aa4dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ