【この役立たずが!】 ページ20
「うるせぇ〜〜〜!お前らに僕の気持ちなんかわかるもんか!」
「寮長……」
「あ"ぁ!?」
寮長がこちらを睨みつける
だが僕はそれに怯むことなく寮長を見つめ返した
そんな事に怯む余裕さえ僕にはなかった
「今まで、今までの事は、全部、嘘だったんですか?今までずっと誰かから奪った能力で優秀さを保って?努力したから今みたいに凄い人になれたんじゃ、ないんですか?」
縋るように、懇願するように、僕は聞いた
今までの姿はその契約書の力だけではないと言ってほしかった
しかしそんな願いはあっけなく砕かれた
寮長はいっそう苛立って叫ぶ
「うるさいうるさいうるさい!元はと言えばこうなったのも全部全部お前のせいだ!お前と契約してから何もかも上手く行かない!」
「っ!」
その言葉に僕は目を大きく見開いた
(僕、の……?)
「優秀で利用価値抜群だからおだてて贔屓してやってたのに!マジフト大会以降は最悪なことばかり!契約した肝心のもう一人のお前は一向にでてこず!フロイドは僕から離れていきユウさん達からもヴィルさんからも悪党呼ばわり!対等な契約を結んだのに何故ここまで言われなきゃならない!頭を悩ませなきゃならない!挙げ句の果てにここまで来たくせして契約書は一枚も守れなかった!ここまでの積み上げてきたのは何だったんだよ……!とんだ無駄骨じゃないか!」
頭がグラグラする
胸が痛い
やめて、それ以上言わないで
でないと今までの思い出まで壊れてしまう
心が悲鳴を上げ続けている
それでも寮長の声は止まない
「こんなことなら期待するんじゃなかった!この役立たずが!」
ビシッ
僕の心に亀裂が入った音がした
ーーーーー
「おい、駆けつけてきてくれた後輩にその言いぐさはねぇだろ。そもそもお前が契約で縛って渋々手伝わせられてたって……あ?あいつ、どこに消えた?」
ーーーーー
【こんなことなら期待するんじゃなかった!この役立たずが!】
どうやって自分の部屋に戻ってきたのかわからない
気がついたら僕はベッドに倒れ込んでいた 頭の中で寮長の言葉がぐるぐる回る
僕は、ただ、寮長や、皆の為に、頑張って、それで……
(僕は、なんのために……)
ひとりでに涙が頬をつたい落ちる
苦しくて堪らない
好かれようとした結果皆に嫌われてしまった
ジャックからも、寮長からも
薬を乱用していた時期の記憶は曖昧だけど酷い事をした事だけ覚えている
きっともう皆僕の事なんて目にも入れたくないはずだ
「あは……は……惨めだなぁ……」
乾いた泣き笑いが溢れるように部屋に溶けた
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あんかけうどん(プロフ) - タイミーさん» ありがとうございます!ファンアート大歓迎でございます!ぜひぜひ描いてくださいまし! (6月20日 23時) (レス) id: 8768b9e08b (このIDを非表示/違反報告)
タイミー(プロフ) - 後失礼ながら私ラドル君の見た目とても気に入ってしまったので描いても良いですか?ダメでしたらすみません💦 (6月20日 23時) (レス) id: 908dc4d734 (このIDを非表示/違反報告)
タイミー(プロフ) - 最新話まで追いつきました‼︎続きとても気になります‼︎無理せずに頑張って下さい(*´∀`*) (6月20日 23時) (レス) id: 908dc4d734 (このIDを非表示/違反報告)
あんかけうどん(プロフ) - TRIXIEさん» ありがとうございます!これからどんどん転落していくのでかわいそかわいいラドルくんをどうぞよろしくお願いします! (5月28日 15時) (レス) id: 8768b9e08b (このIDを非表示/違反報告)
TRIXIE - 続きが出ている...!有難うございます!貴方様の動かすランドールと夢主が大好きです! (5月28日 14時) (レス) @page15 id: 2c398aa4dc (このIDを非表示/違反報告)
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