強くなりたいと願った弱者 ページ5
強くなりたい
この町で一番、強くなりたい
ずきずきと痛むほほ、血だらけになった足
オレが強ければこんなことにはならなかっただろう
やっと手に入れたお金は取り上げられてしまった
はぁ、とため息をつき狭い路地へと入る
「英聖にぃちゃん!」
小さいのが走ってくる
「海図…」
「ねぇ、お金どれだけもらったの?今日の夕飯は?」
「ごめん、お金全部とられちゃった」
そう言うと、海図はあからさまに不機嫌な顔をする
「こら海図、隼総だって頑張ってるんだぞ!」
海図をたしなめるのは喜峰
オレの、親友だ
「っておい隼総!足、血だらけじゃねえか!」
「…ごめん」
「ごめんじゃなくて…まあいい、手当てが先だ」
古くなったTシャツを破り、包帯がわりにくるくる巻かれる
「ホントごめん、ホントに」
「なに謝ってんだ、隼総は」
顔を上げるとこのグループのリーダー、浪川がいた
「飯なら古いパンがある、心配すんな」
浪川は強い
身体も、心も
「ありがと、少し散歩してくるよ」
「まて隼総!最近誘拐が…」
浪川の話を無視し、足早に路地を出た
オレは弱い
浪川の強さから、優しさから
逃げたいと思ってしまうのだから
そんなことを考えていると、闇からぬっと影が出てきた
背の高い男だ
「君、こんなに暗いのに散歩かい?」
「誰だよ、おじさん」
「おじさんは、この国の偉い人さ」
彼は怪しげに笑う
「君は、強くなりたいかい?」
「ああ、このバビロン街に住んでいる人ならみんな思っているさ」
「君、年はいくつ?」
「12」
「完璧だ、さあ私の手をとって!君を強くしてあげよう!!」
オレは何のためらいもなく、差し出された手をとった
「ようこそ、極東帝國の兵器よ!」
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