蛇の僕と獅子の君。Part 3【ハーマイオニー・グレンジャー】 (ページ9)

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「……す、すみません先生。えーっと」

僕は慌てて立ち上がり、地面へ落ちたティーカップの破片を集めようとした。トレローニーは大きな瞳をパチクリさせ、そしてはあっとため息をこぼした。

「構いませんわ、ブラック。お気になさらないで。仕方ないわ、えーっと、代わりにあなた……」

そして彼女は杖で割れたティーカップを集めつつ、隣のセオドールに声をかけた。

「ノットです。先生」

セオドールは静かに答える。
名を聞いたトレローニーはセオドールのティーカップを持ち上げて、中を覗き込んだ。

「あらあら、片割れのハート。最近失恋をしたのですか？」

合同授業であったレイブンクローの連中がクスクスと笑う。トレローニーも、可愛い子供を見るような目で、セオドールを笑った。彼はと言うと、その笑い声に顔色一つ変えることもなく、ただ、前を向いている。

「これは……ああ！なんて可哀想な子！」

小さな動物のような形のそれを指差して、トレローニーは叫んだ。

「猫がいるわ。あなたは今度何か裏切られるでしょう。でも大丈夫、猫は気まぐれだもの。それを表に出さなければ、きっと去ってくれるわ。安心なさい」

「はあ」

セオドールが答える。とても興味なさげにそれを言って、そして彼はただトレローニーの言葉を聞き流していた。

さてそれがチャイムが鳴り終わるまで続けられる。
僕はティーカップがわれてよかったと、心の底からそう思った。