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「大丈夫かい？災難だったね」
暗闇の中で、男性は言う。僕は彼に小さくお礼をして、自分の席に戻った。
「何か辛いことはないかい？ああそうだ、チョコレートを食べなさい。少しは楽になる」
そう言って男性は僕に向かって大きなチョコレートを差し出す。僕は無言でそれを受け取って、セオドールにもと差し出した。
「セオドール？」
返事はない。
「……どうしたの？あいつらはもういないよ」
先ほど使っていた杖を一振りし、ルーモス、と唱える。ついでにカーテンも開けた。
「セオドール！！」
そこを見ると彼は床に伏していて、僕は今まで気づかなかった自分を恨む。
「大丈夫、気絶をしているだけだよ……多分」
男性はそう言って、セオドールを椅子の上に運ぶ。僕はそれを聞いて、少し安心して反対側の椅子に座った。
と、その時。先ほどまで消えていた電気が、パチッとついた。
突然の光の眩しさに目を閉じて、そして開く、前には青白い顔をして眠っているセオドールと、もう一人、みすぼらしい男性。さっきの人はこの人だったのか。
「君の、名前は？」
男性は、恐る恐ると言った感じで僕に聞いてくる。僕はその人の真意がわからず、その瞳をじっくりと見て、そして答えた。
「A・ブラックです。えーっと、Mr……」
「ああ、悪かったね。私はリーマス・ルーピンだ」
彼は人のいい笑みを浮かべて、僕に握手を求めた。一応僕はそれに応え、しっかりとその手を握った。ゴツゴツしていて、傷だらけの手だった。
「それじゃあ、私はもう行かなければ。じゃあね、A」
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作者名：あんころころもち x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2019年5月13日 9時
