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「何をしているのですかな?Mr.ブラック」
そんな低い声に、上がっていた体温が一瞬にして下がるのを感じた。「頭身の毛も太る」だったが、いつかマグルの小説で読んだことがある。「はしょうもん」だったか「はしょうふう」だったか。そんなどうでもいいことを思い出してしまうくらいには、多分僕は焦っていたんじゃないかと思う。
「えーっと、何もないです、スネイプ先生」
前にも言ったかもしれないけれど、スリザリンとしてはあるまじきことか、僕はこの人が苦手だった。べったりとした髪に、土気色の顔。まさに蝙蝠としか形容できなく、非人間的だった。ジッと、僕を見つめるその目がどうにも気まずくて、僕は目を泳がせた。
「これは、我輩がマダム・ポンプリーから直々に言われ、調合した薬だが……」
スネイプ先生は地面に落ち、割れた便を指差しながら薄ら笑いを浮かべる。冷静になって周りを見てみれば、不安そうにしている顔が、たくさんこちらを向いていた。しまった、ここは医務室じゃないか。
「すみません、先生。後でマダムに謝っておきます」
僕はスネイプの……スネイプ先生の顔をじっと見つめる。その暗い瞳が、獰猛な獣のように僕をにらんだ。僕が一体、彼になにをしたと言うのだろうか。
__いや、さっきの言葉には、わざと悪意を込めたけれど。
「全く、自ら問題を起こさねば気が済まないのすかな、ブラック。全く君とポッターはそっくりだ」
「やめてください。あんな血を裏切る者と一緒にしないで」
キッと彼を睨めば、やはり彼は相変わらず薄ら笑いで僕を見下ろしていた。それがどうにも憎たらしく__先生にこのような言い方をするのは良くないかもしれないが、知ったことか!__僕はもう一度口を開く。
「それともスネイプ先生は、純血と半純血との差も分からぬほどの愚か者なのでしょうか?まさか、かのスネイプ先生がそんなわけないですよね。あなたは優れた教師なんでしょう?」
スネイプの表情が変わった。高圧的に僕をにらみ、そして言う。
「教師に対してのその発言。いささか問題がありますな。Mr.ブラックはどうにも罰則を受けたいようだ。ひとまず医務室をかたずけなさい。もちろん魔法を使わず。その後に我輩の部屋に来るよう」
失礼する、そう言って彼は、音もなく医務室を出て行った。
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作者名:あんころころもち x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年5月13日 9時