109限目 ページ15
「君とは話してないけど?テュフォン」
思ったよりも冷たく響いたその声に、僕は少しだけ後悔する。彼は、テュフォンは、ジッと僕の目を見据えて、言葉を発する。
「汚らわしいマグルなんかと関わり、下等な魔法動物を守るためにドラコにもっと怪我を負わせるっていうのか?君は自分が何をしているのかわかっているのか?このブラック家の恥さらしが!」
「……」
彼の目は、嫌いじゃなかった。みんな本当の素性のわからない僕から一線離れ、思ったことなど伝えてこない。だけれど、彼は違った。いつもいつも、ムカつくくらいに思ったことを口から出して、自分が言っていることを何一つ疑わない。彼はいつでも真っ直ぐなのだ。
かといって、僕は自分がけなされることには、我慢ならないけれど。
「お前のせいで我らブラックがどれだけ恥をかいたと思っているんだ、調子に乗るなよ!」
「黙れ」
またしても冷たい声。何度も言うようだが、言いたい放題言われて、黙っている僕ではない。
「たかが分家のくせにブラックを語るな。恥さらしはどっちだ」
「お前だって同じ身分だろう。そうだな、父親のわからないお前は俺よりも身分が低いかもしれないが」
「お前より勉学も運動も優っている僕が?君より?調子に乗るのもいい加減にしたらどうだ」
「……ふざけっ」
「僕はヴァルブルガ様に少なくともお前なんかよりも信を置かれている。ブラック家の最後の当主であるあの方に」
ついに何も言わなくなった彼に、追い討ちをかけるようにして僕は続ける。
「そしてお前の姓は「ロジエール」だが、僕の姓は「ブラック」だ。それを忘れるな、テュフォン」
キッと、また彼は僕を睨む。それに向かって微笑んで、僕は言った。
「あとたまに論点がずれていくのも君の悪いところだ。直したほうがいい」
すると、彼はパクパクと魚のように口を開閉させ、そしてやっと言葉を出した。
「君は、君の唯一のはっきりとした「親戚」を見習ったらどうなの?」
176人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あんころころもち x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年5月13日 9時