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ヒッポグリップというものは、ひどく美しいと思った。初めはぶっちゃけ期待など一つもしていなかったが、こんな授業なら、楽しめないこともない。そう、ぼんやりと考えていた。
僕は仲良くなったヒッポグリフのメス、ジェイドの嘴を撫でる。レディらしくない名であるが、その気高き瞳と闇よりも黒い翼には、その名がぴたりあっていると思う。息を呑むほど美しいその生き物。その上大変賢いときた。
「綺麗だね」
そんな言葉に、ジェイドは目を細めて僕に体をなすりつける。隣で見ていたダフネがクスクスと笑って、まるで恋人同士みたいだわと言った。
「人間不信になったら多分僕、ジェイドと結婚するよ」
冗談っぽくそう返すと、彼女はそれはいいわ、と薄く笑った。そしてジェイドと目を合わせ、お辞儀を始める。ダフネの美しいその容姿には、ジェイドがぴったりだと思った。
「動物は、嫌いだ」
ボソリと、隣にいたセオドールが呟いた。意外だなと言ってみれば、彼は先ほどより一層眉をのシワを深める。こんなにも美しいというのに、もったいない。心の中でそう思って、ダフネが終わるのを待ち、セオドールの腕を無理やり引っ張りジェイドの前に連れて行く。
もはや視界に入ってしまった以上、意外にも僕と同じように負けず嫌いである彼が引くはずがない。顔をしかめたまま、ジェイドを睨みようにして、お辞儀を始めた。
さて、僕はぼんやりととある人物を目で追った。茶色のヒッポグリフと戯れる彼女……うう、かわいい。視界の端でなにやらダフネが呆れた顔をしているのを見て、僕は慌てて目をそらす。すると、ふと、グラップやゴイルとコソコソ話しているドラコの姿が目に映った。
「……ねえ、あれ、何をしているんだろう」
「どうせくだらないことよ。マルフォイのおぼっちゃまは英雄ポッターが大好きだもの」
冷やかすようなダフネの言葉を聞いても、その不安は拭えなかった。
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作者名:あんころころもち x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年5月13日 9時